海月ト共ニ揺蕩ウ ページ36
「君が観たいと云ったから来たけど、成る程
「嫌いでしたか? 海月」
「否、嫌いじゃあないよ」
私と太宰が居る場所は、海月のコーナーだった。淡いラベンダー色の電灯が灯された空間は広々としているが静かで、殆ど人が居ない。
大体の人が、海豚達による盛大なショーを観に行ったり、他の珍しい魚の方に興味が向いてしまっているようだ。
それにしても、海月だけなのに随分と沢山の種類がある。
私でも、知っていて精々数種類が限界だが、この水族館に展示されている海月は多分、ザッと見ただけでも十種類以上は確実にいるだろう。
「............」
「Aの御気に入りは、其のミズクラゲかい?」
「御気に入りか如何かは判りません」
でも、何故かずっと見ていられた。
球体型の水槽に、ふわふわと浮かび上がったり、すいすいと泳いだりしているのは、日本の海で最も多く見る事がある『ミズクラゲ』と云う名の海月だ。
四つ葉を思わせる模様が可愛らしいのだが、透明な傘に透けている四つ葉の模様は、胃腔と呼ばれる生殖腺。因みに、別名では『ヨツメクラゲ』とも言うらしい。
「ふぅん? 嗚呼でも、ミズクラゲって......何だか君によく似ているねぇ」
太宰は私の隣に立ち、水槽の中を覗き込むとクスクス微笑う。似ていると言われた私は、海月と自分を何となく頭の中で重ねてみた。
如何見たら似ているのかしら?
「見た目が、という訳じゃないさ。 唯何となく......ミズクラゲは君に似ていると、私が思っただけだよ」
そう言い終えると、太宰は私の方を見詰、突然ズイッと距離を縮めて来た。
驚愕した私は、予想外の出来事に身体が反撃する態勢になっていなく、思わず瞼を閉じて身構える。
「 ______ 」
「............!?」
「却説、次の場所に向かおうか」
悠然とした足取りで歩き出す太宰。
だが、私は彼の後を追い掛ける事が出来ず、其の場に一人残っていた。
“ 詰まり、可愛いと云いたいのだよ ”
「...........心臓に悪い日だわ」
頰が熱かった。
399人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミサぽん(プロフ) - カエデさん» コメント有難うございます! いやいや、そんな......羨ましいだなんて、もっと上手くなりたいと思っている位ですよ、ですけど 有難うございます!嬉しいですっ (2019年7月7日 17時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
カエデ - こんにちは。読ませて頂きました。ミサぽんさんって絵がお上手なんですね!羨ましいです! (2019年7月7日 16時) (レス) id: 611e70016f (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます!成る可く早い内に、続編を作成します。いつも読んでくださり、感謝感激です! (2019年6月16日 9時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - こんにちは。引き続き続編も楽しみにしております!笑 (2019年6月16日 9時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 初めまして!いつも!? え、え、有難うございますっ 楽しく!?...嬉しくて涙が出てしまいます。これからも更新、頑張っていきますね!感想、有難うございます。 (2019年6月9日 22時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年5月27日 11時