透明少女と彼女の人外【ライラ】 ページ10
あのどうしようもなく長く感じた三日で初めて私を見つけてくれたのはガスパーだったし、形振り構わず私を探してくれたのも、寂しい夜に傍に居てくれたのもガスパーだった。
孤独から最初に
たとえその後誰が助けてくれたとしても、最初だけは変わらず、胸の中に残り続ける。
私にとってはガスパーがそれ、という、これはそういう話だったのだ。
ガスパーと出会った十の黄昏時。
私の五歳から続く孤独が癒されたのも、その時だ。ガスパーと出会ったから、例え世界から弾き飛ばされたとしても、私は一人ではないと断言することができる。
「ねえ、ガスパー」
「んあ? なんだライラ」
……これからも傍にいて、とは言わない。
彼は人外で、人よりももっと自由なものなのだ。私なんかに縛られるべきではない。
隣にいてくれるのが当たり前と言っておいて馬鹿らしい話だと思う。
が、そう思えてしまった私の傲慢は、きっちり戒めておくので許してほしい。
だから、きっと彼がいつか私の元を離れていくとしても私は止めない。
「寂しくなるね」ときちんと物分かりの良いフリをして見送ってやる。そうすると決めている。だが。
「ケーキ食べる? 美味しく作れたと思うよ」
「まじ!? 食べるー!」
彼が、彼の好意で、私の傍にいてくれるように餌付けする、というのは許されるんじゃないかと思うのだ。
だって、なんたって彼は人外だし、彼が空腹だと人命が危ない。
そう、これは人命救助のためなのだ。
美味しそうに食べる姿は好きだし、お腹を空かせてしまうのは可哀想だと、思ってもいるけれど。
「ふふ、」
むしゃむしゃとお手製ケーキを食べるガスパーを見て私は頬を緩める。
「今日も幸せだな」
サラリとどこからか吹いた風が、私たちの頬を撫でていった。
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ライラさんはどこかちょっと鈍いのです。
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作者名:氷渡ミオ | 作成日時:2018年9月14日 23時