シニガミ様の仰せのままに。

story19 ページ23

A「本当……ですか？」

豪炎寺「ああ、勿論だ。お前を誇りに思う気持ちに嘘はない」

豪炎寺先輩の視線は、ただ一つ僕を見つめている。

円堂「お、俺だって！紅桜は凄いと思うぞ！」

豪炎寺先輩の隣に座る円堂先輩が、突然立ち上がって声を上げる。

あまりの声の大きさと行動に、喫茶店中の視線が僕らに集まる。

「すいません」と円堂先輩の代わりに謝る風丸先輩。

円堂「それにな紅桜、人には誰だって失敗するんだ！完璧な奴なんてどこにもいない！だから……そんなに泣かないでくれよ」

円堂先輩がゆっくり腰を下ろしながら、僕に語る。

風丸「……初めてでちゃんとやれたんだから、いいじゃないか。俺なんか最初は、円堂の助けなしでは出来なかったし。俺なんかに比べれば、お前は凄い奴だよ」

続けて風丸先輩が真横から苦笑を交えつつ言う。

幽「Aっちー！お願いだから泣かないでよ……ユウ、Aっちが泣いてるとこ見たくないよ……」

幽もいつもみたいな笑顔ではなく、悲しげな顔をして言う。

A「先輩……幽……！ありがとうございます……ッ！」

僕は皆の言葉が心に刺さり、気づいたら涙も止まってそのまま礼を言っていた。

皆僕の事、認めてくれているんだ。皆僕の事、思ってくれているんだ。

そんな事が素直に嬉しくて…また泣きそうになったけど、必死に堪えて僕は皆に笑ってみせた。

―――大丈夫、僕はもう泣かない―――

そんな意味もこめて…ね

円堂「あー良かったッ！紅桜が笑ってくれて！」

幽「ホント良かった〜！Aっちには笑顔が一番だしね！」

二人…この際、『元気組』と呼ぶ事にしよう。

元気組が一緒にハイタッチをする。相当嬉しかったらしい。

A「なんか……心配かけてすいません」

僕が詫びると、隣から「こらッ」と何故か叱られる。

風丸「そうやって謝るのやめにしろよな？別にお前が悪い訳じゃないんだから」

あっそゆこと。納得です、風丸先輩。

豪炎寺「さてと……紅桜も落ち着いたし、一度稲妻に戻ろう」

A「あれ……他に仕事残ってませんでした？」

ここには急遽来た訳で、他の仕事は中断してきたはずだ。

豪炎寺「実はな……紅桜の事をシェルミエル様に報告したら、仕事はいいから今日の所は帰ってこいと言われたのだ」

A「ああ、そうなんですか……」

やっぱり報告はするよね…

きっとシェルミさん、がっかりしてるだろうな…

僕は不安に心が潰されそうだった。

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