SCENE 2 その5 ページ9
手に持ったマグカップから、湯気が立ち上っている。
中身はココア。
口に含むと、優しい甘さと芳しいカカオの香りが広がった。
「ふう……。」
目を閉じて、椅子に深く腰掛ける。
……この屋敷のココアを飲むのも、これが最後かしら？
いつかはこんな日が来るのだろう、そう思っていた。
いつだったか……そう。
クレアモンテ家の令嬢である事に嫌気がさした日から。
跡取りになれるのは姉様だけだと告げられた日から。
華のある人間になりたいと思い始めた日から。
そして……
怪盗クイーンに、魅せられた日から。
今日、私はありふれた退屈なこの世界の住人ではなくなる。
……予定だ。
上手く行けば、の話。
私の人生を決定することが、今日……決まる。
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夜のクレアモンテ邸。
ライトアップされた庭園や、着飾った客人達。
皆、政財界の大物ばかりだ。
そして柱の影には、いつものようにミアが居る。
しかし、その様子は普段とは大きく異なっていた。
一つ目は、ドレスを着ているということだ。
瞳の色に合わせた淡い水色のドレスには、真珠やアクアマリンが縫い付けてある。
アップにした金髪も美しい。
二つ目は……。
「ひとつ、お願いがあるのだけれど。」
パーティの内容に関してメイドに注文をつけていること。
「何でございましょう、ミア様。」
「今日、私にとって大事なお客様がみえるの。それで……」
「畏まりました。料理長に伝えておきます。」
「ありがとう。宜しくね。」
微笑んで、玄関口に向かう。
……怪盗クイーンは、何処にいるの？
見回しても、それらしき人はいない。
……それらしき人、なんて考えが甘いわね。どんな人にでも変装できるのに。
歩いていると、姉のリアの姿が見えた。いつもながら大勢の人に囲まれている。
姉様には、華があるのかしら。
……あるわよね。あんなに大勢の人が集まってくるもの。
私には、華があるの？
……ないから、怪盗クイーンを探しているのでしょう？
私は、怪盗クイーンに会って、どうしたいのかしら。
……ずっと前から決めていたでしょうに。
私は。
私は……
自問自答を繰り返しながら、ミアは進む。
ドン！
考え事をしていたせいで、前が見えていなかったらしい。
「……いたい。」
うずくまるミア。
柱に、頭をぶつけてしまった。通り過ぎる人々は気にも留めない。
「大丈夫かしら、お嬢さん？」
立ち止まる靴音。
顔を上げると、そこには……
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
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イブニングドレス
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
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西 - この方角に福があるはずです
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ペンギン - 面白い！ (2021年3月12日 18時) (
レス) id: c1bf0f2153 (このIDを非表示/違反報告)
queenssapphire(プロフ) - ありがとうございます！！ (2018年1月15日 9時) (レス) id: 0482909ee0 (このIDを非表示/違反報告)
月読命 - queenssapphireさん» 文章が洗練されてて読みやすいです…! これからも頑張ってください！ (2018年1月4日 20時) (レス) id: 3990fcd378 (このIDを非表示/違反報告)
queenssapphire(プロフ) - コメント欄が楽しいです( ´ ▽ ` ) (2017年11月19日 22時) (レス) id: 8d67e18895 (このIDを非表示/違反報告)
queenssapphire(プロフ) - ありがとうございます！そう言って頂けると嬉しいです！キャラの名前を変えられない仕様なので、実質夢小説ではないのですが……ゴメンナサイ (2017年11月19日 22時) (レス) id: 8d67e18895 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クイーンズサファイア | 作成日時：2016年8月27日 12時
