お気に召すまま 〜キスの夜の夢〜

act 5 ページ5

ケントリスside

突然の出会いにパニックになって思わず叫ぶ私たち。

だって…こんなに心臓の鼓動が速くなったの初めてで…


これが…もしかして恋？


とにかく、あの素敵な二人に背を向けてヒーローと作戦会議開始！


「ヒーローっ！どうしよう！私…好きになっちゃったかも…」

『私もっ！…て、え…？一応確認するけど…ケントリスが好きなのはどっち？』


そうだわ！
まさか同じ人を好きになってたら大変！


「私は…あの目の際にホクロがある…」

『あっち？あー良かった！私、もう一人の方だから！』


良かった〜！

…って…アレ？
もっと大事な事を忘れてない？

…

…

あーっ！


「良くない！この格好！私たち男だと思われてるわよ！」

『あっ、そっか。でもいいじゃん！実は私たち女性なんですよって告白すれば』


そっ、そうよね。
ホントは家から逃げてきたから、素性を隠さなきゃいけないとこだけど、そんな事言ってられないもの！


…と、その一方で…


二カーディオside

「なぁ…フジナート…」

『あぁ…二カーディオ…』


あの二人…オトコだよなぁ…
なのに…なんでこんなに胸が高鳴る？！
それに…一番厄介なのは…


『だよな…はぁ…』


いわゆるオトコのシンボルって奴が反応してて…

あ、俺は二カーディオ！
フジナートとは主従関係にあるが、幼なじみで大の親友。
俺もあいつももちろん今までオトコに走った事なんて…


「なぁフジナート、俺たち今まで本気で惚れる女がいなかったのって、実はそのケがあったんじゃ…」

『まさか！俺、お前なんてゴメンだぜ』

「ばっ！俺だってぜってー無理！」


目の前の二人はサイズの合わない服を着ているせいか却って華奢に見え、その身体のラインを妄想させる。


『二カーディオ…念のため聞いておく。お前はどっちだ？』

「えっ？！俺は…パッチリ二重の大きな瞳が可愛い方…って何言わせんの！」


俺が答えると、フジナートはホッとした様子で


『俺は…プックリ唇が色っぽい小柄な方が…あの唇、キスしたらさぞ気持ちい…コホン！』



…とにかく名前だけでも聞いてみるか…

意見が合ったところで、あの二人もやっとこちらを振り向いた。




…そしてその頃、この反対側の森の中ではまた別の男女が恋の駆け引きを繰り広げていたのだ…

act 6→←act 4

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す