お気に召すまま 〜キスの夜の夢〜

act 14 ページ14

タマーガレットside

…なんだか頭がクラクラする。
そうだ、さっきは私の運命の人を追いかけて…
ヒーロー様…あなたは一体どこへ…
ふらふらと立ち上がって歩き出した途端、

…ん？
どこからか泣き声が…

声のする方へ歩いていくと、見覚えのない子どもが二人泣きながら歩いている。
そして私の顔を見るなり駆け寄ってきた。


「あんたたち、一体どうしたの？」

『ヒック、あっ、お姉さん！あのねあのね…男の人が死んじゃったの！』


いきなりそんな事言われてびっくりしてしまう。


「死んじゃったですって？！間違いないの？」

『うん！僕たちの目の前で毒を飲んだの！好きな娘に振られて生きていけないって…グスッ…』

「そんな…！とにかくその人はどこにいるの？」


あっちだよ！って二人に引っ張られて、連れてこられた場所に眠っていたのは…


「ミヤターニオ…嘘でしょ…」


《タマーガレット！君こそ僕の運命の人だ！結婚してください！》


出会っていきなりそんな事言われて、びっくりしてヒドイ事言ったけど…

次の日も、何とも思ってないなんて追い返したけど…

ホントは…


「ねぇ！私をからかってるんでしょ？早く起きなさいよ！」


そう言いながら触れた頬は青白く、冷たかった…彼は本当に死んでしまったのだ…

ついさっきまでの優しい笑顔はもう見られないのかと思うと、自然と頬に熱いものが伝ってくる。


「ミヤターニオのバカっ！…私、ホントは…

ミヤターニオが好きなの…」


生きている内に言ってあげればよかったと後悔してももう彼は戻らない。せめて最後にと、私はありったけの想いを込めて口付けた。


するとその時、奇跡が起きたのだ…


………



『ねぇソウ、僕たちの演技、なかなかのものだったんじゃない？』

『うんうん！マリウス、きっと読者も泣いてるよ！』


…本当に凝りない妖精たちですね(笑)

act 15→←act 13

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す