お気に召すまま 〜キスの夜の夢〜

act 13 ページ13

カメナシーノside

『そんなの難しくない？死んだふりなんてあいつには無理だよ〜！』


マリウスは不安な顔で言う。


『違うよマリウス〜、振りじゃなくてさ…』

『お前まさか…カメナシーノに…』


やっぱりそうか…
あれは危険の伴う魔法だからな。
しかし、今はやるしかないだろう。

そんなのダメだとソウを叱りつけるワタールを制して言った。


「…ソウの提案を受けよう。ミヤターニオというのが死んだら、あの娘は悲しむんだな？」

『口では好きじゃないって言ってたけど…ホントはあの娘、ミヤターニオの事…だから、振られたせいで毒を飲んで死んだ事にしたら、きっと悲しむと思うの』


ソウの言うことにマリウスも大きくうなづく。


「…分かった、やってみよう」

『カメナシーノ！…本当に大丈夫なの？』

「ああ、ワタールが熱いキスをしてくれたらね」


ワタールはもうっ！と顔を真っ赤にした。その可愛い顔で十分さ。

さぁ、あの娘とミヤターニオとやらの元に急がねば。
夜が明ければ魔法が効きづらくなる。


………


ミヤターニオはマリウスとソウの説明を聞くと、さすがに驚いた様子だったが、タマーガレットの為なら協力すると約束した。


「さぁ、目を閉じて。身体を楽にして…マリウス！ソウ！お前たちは人間の子どもにでも変身して！タマーガレットにミヤターニオが死んだ理由を説明するんだ」


しばらくすると、ミヤターニオの身体が冷たくなってきた。顔色も青白く、生気のないものに…これでタマーガレットは完全にミヤターニオが死んだと信じるはず。

俺はマリウスとソウに後を任せ、残りの二人の身体を妖精の祠近くへ移動させた。
こちらのお二人さんは自力で上手くやるだろう。お幸せに…

さて、まだ夜明けまでしばらくある。
魔法を使ったからお腹も空いたし、一旦帰るか。
もう少しワタールの身体の温もりも感じたいし…



………




そんな事とはつゆ知らず、タマーガレットの追跡から逃れたフジナートとヒーローが目を覚ます。


『…ここはどこ？あ、フジナート様！ご無事でよかった…』

『ヒーロー！君こそ大丈夫か？…しかしひどい目にあった。あれ？あそこにいるのは…』


そう…近くでは二カーディオとケントリスが真っ最中。

真っ赤になったヒーローを抱き寄せ、囁くフジナート。

『ねぇヒーロー、僕たちもさっきの続きを…』

『ええ、フジナート様…私を愛して…』

『ヒーロー…！』



こちらは何の心配もないようです(笑)

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