8話 話し相手 ページ9
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「ロザリアちゃ〜ん!」
歩いてきたのは昨日の朝に会ったケイトさんだった。
『ケイトさん…!』
また自分とちゃんとお話してくれる人が来たことで、先程まで落ち込んでいた私はいなくなった。
その後ろには見知らぬ男性もいた。
『?と、そちらの方は?』
「同じ寮のトレイくんだよ!」
「まさか本当に動いているとは…」
「ほら、オレの話したことも写真も嘘じゃなかったでしょ?
昨日言った通り、ちゃんと制服見せに来たよ♪」
『こんなに早く来てくれるとは思っていませんでした…!壁の染みを数えるくらいしかすることがなくて暇を持て余していましたので嬉しいです!
そのお洋服が制服だったのですね!ここを通る生徒さんも同じものを着ていましたし…』
よく見られませんでしたが、と小声で呟いて、約束通りじっくり見させてもらう。
少し高めの位置に額縁で飾られているため、目線がケイトさん達よりも高い私にも見えやすいように近くに寄って、腕を広げてゆっくり回ってみせた。
「ほらほらトレイくんも!」
「俺もか…!?」
ただの絵の私にわざわざ制服を見せてくれる2人の優しさに胸が熱くなった。
賢者の島以外では動く絵なんてそうそうないと、昨日またここに立ち寄った学園長さんに教えてもらった。悲しいけれど私を見て逃げ出した生徒さんたちの方が正常な反応なのだ。
『やはりとっても素敵です…!あの、ここを通る方々は上着の中のベストや腕のリボンの色がそれぞれ違っていましたが…
学年で違っていたりするのですか?』
「あー、それは寮ごとに違うんだ。」
『寮?それは昨日もケイトさんが言っていた…は、は、らび…?』
「あっはは!ハーツラビュルね!ナイトレイブンカレッジには、グレート・セブンに倣った7つの寮があってさ。
まず、我らがハーツラビュルは〜
〜〜〜
って感じ!」
『名前も長くて目が回りそうです…覚えるのに時間がかかってしまいそう…。』
「う〜ん!新入生みたいでかわいいねっ!」
「ゆっくり覚えていけばいいさ。」
「新入生といえば〜、聞いたっ?今朝メインストリートのハートの女王の石像が新入生に真っ黒焦げにされたんだって。
犯人の中に、昨日入学式で暴れた子達もいたらしいよ〜」
暴れた…?
『まあ…。そんなことが?』
「ああ、そういえば俺のクラスでもその話は話題になってたな。」
「まっ!ロザリアちゃんも同じくらい話題になってたけどね〜」
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ななし(プロフ) - プリメロンさん» ありがとうございます!そう言ってもらえるとすごく励みになります…!社畜の身なので頻繁に更新することは叶いませんが、これからも息抜きに書いていきたいと思っております (2021年6月8日 17時) (レス) id: edbe6aadbb (このIDを非表示/違反報告)
プリメロン - ロザリアちゃんが可愛くて大好きです。続きが楽しみです。 (2021年6月8日 13時) (レス) id: b71badc53a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななし | 作成日時:2020年7月12日 6時