88 ページ40
〜吉良side〜
私の隣で制服を着て歩くAの姿を見て、改めてAは「ただの普通の学生」であることを実感した。A位の年齢の普通の女子高生は･･･まだ親に甘えていたい年頃で、守られているのが当然なのに･･･Aは両親を亡くしたせいで･･･私が来るまではたった一人だった。
Aは要領が悪い上に頭もあまり良くはないようだったが･･･それでも家のことは料理以外は自分でやるし、年齢の割にはあまり人に甘えない･･･しっかりした性格だと思っていたが･･･きっと親を早くに亡くしてしまったAは、友達もおらず･･･祖父母も遠くに住んでいる様子で･･･甘えれる相手が居ないからそうならざるを得ないのだろうと思った。
そんなAと･･･両親を早くに亡くしていた私自身の姿が重なった。私が父親を亡くしたのは21歳の時だったが･･･Aと違って成人していたので心細いと思っていなかったし、親父も死後･･･写真の中に居て会話が出来ていたし、私自身が他人と関わる事が面倒だと思っていたので特に寂しさや孤独感といった感情はあまり持っていなかったが････Aの場合は恐らく違う。
友達が居ないことをコンプレックスに思っているようであったし、時折リビングの仏壇の前で寂しそうな顔をするAをたまに見かける。きっとAは･･･心のどこかで寂しさを抱えている筈だ。そして私は････他人とあまり関わりたくないと思っていた筈なのに･････なぜかAにことは放っておけないと思っている。Aを独りにしたくないと思ってしまっている。
Aの傍に居て、守ってやらねばという感情が何故か今････私の中でとても大きくなっているのだ。何故そうなっているのか？そんなことは自分自身が一番わかっている。Aのことが好きだからだ。まさかこの私が、こんな平凡でロクなことをしない子供を好ましく思うなどとは私自身も夢にも思っていなかったが････私の心の中のAを慕う感情は、もう否定も誤魔化しも出来ない位大きくなっている。
A。君はきっと今「それ」を私が告げても信じないだろう。だから今は取り合えずAと一緒に居て、少しずつ分からせてやろう。この吉良吉影をその気にさせたこと･･････覚悟しておくんだな、A。
私の隣で挙動不審気味に歩くAの横顔を見ながら、密かにそう心の中で呟いた。
---
そっけないフリをしてても、その愛情はとても重くて大きい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ロロロとラララ(プロフ) - サナさん» 吉良吉影さんのツンデレアタックがどうなるのかですね🤔笑笑 よかったら、3も出来てるので見に来てくれると嬉しいですよ😊 (9月23日 12時) (
レス) id: d19b83efdc (このIDを非表示/違反報告)
サナ - ロロロとラララさん» 絶っ対可愛いよ！見てみたいなぁ❤️夢主ちゃん、やっと吉良さんのことを意識し始めたね!!!どぉなるのか楽しみだ!!! (9月21日 20時) (レス) id: 8678ad65e9 (このIDを非表示/違反報告)
ロロロとラララ(プロフ) - サナさん» サナさん、お久ですー 吉良さん予想外のどストレートなアプローチ？脅迫？にどうするんですかねー(何故か他人事←) 夢主さんはからかったら、きっと拗ねますね……笑笑 そしてしょっぱい反撃をすると思います。笑 (9月18日 13時) (レス) id: d19b83efdc (このIDを非表示/違反報告)
サナ - 誰か救急車を呼んで!!!私、今にも尊死しちゃいそうなの!!!日々の疲れが、取れていくわぁ(*´∇｀*) 顔真っ赤な夢主ちゃん…見てみたい!!!多分、夢主ちゃんは照れる言葉をずっと言ってからかってたら、怒っちゃうんだろおな(^ー^) (9月18日 9時) (レス) @page50 id: 8678ad65e9 (このIDを非表示/違反報告)
ロロロとラララ(プロフ) - サナさん» サナさん、お返事遅れて申し訳ありません。宿題ファイトでございますッ！吉良さん……デレがなかなか上手く描けず苦戦中です…笑 (9月14日 23時) (レス) id: d19b83efdc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ロロロとラララ | 作成日時：2023年8月25日 13時
