22話-4 人形の館 ページ40
「二度アルコトハ三度アルッテネッ！」
見覚えのある人形が私たちに近づいてきたのだ。それも三体、気持ち悪さ三倍増しである。
やつらはそれぞれがダイナマイトを投げたり、サブマシンガンで撃ってくる。それをできる限り避けながら反撃のチャンスまで待つ。
「エメラルド・スプラッシュ！！」
放たれたエメラルドの弾丸は一体目の人形をぶち壊した。他の人形は避けたようだが、その避けた後の一瞬の気の抜けたところを狙う。
「花京院、鼻と口押さえててね……！」
ディープ・パープルはそのスタンド体を空気になじませ、人形たち一帯の気体を汚染物質に組み替えていく。人形といえども隙間があるはずだし、それにヤツらはスタンドによってつくられたもの。効かないわけがない。その予想通りに人形たちはバタバタと倒れ、動かなくなった。
「今のは、君の技か？」
「ええまあ、そうよ。空気中のありとあらゆる物質を汚染物質に変換して、相手を倒すの。何度もやると疲れるからやらないけど、今のところ私の中では一番強いかもしれないわ」
「それに、危険だな。下手をすれば巻沿いをくらう」
「そうなのよね、下手にできないわ」
そんな会話をしながら、ぞろぞろと湧き出るジョーイ人形を倒しつつ、上の階へと上がる。二階も特に何もなく、人形がわらわらといただけだったので、倒しながら進み、三階へと上がった。
三階には一、二階に大量にいたはずのジョーイ人形たちはおらず、しんとしている。上がってすぐの部屋には女性の下着類、バニースーツ、大人用の良くない本、マッサージ器が大量に置いてあった。何に使うかはもう察しの通りだ。
その近くの小部屋に行くと、そこには見覚えのある顔がいた。
「……父さん、母さんに、姉さん？」
見た目はとてもよく似ている。だが、ところどころ球体関節があり、良く似せた人形という事がわかった。ただ、あまりにもよく似すぎていて気持ち悪い。
そして、人形たちが一斉にこちらを向いて言う。
「ケッコン、オメデトウ」
……ケッコン、結婚？ 私はまだ成人していない、確かに法律上結婚ができる歳ではあるけれど、誰かと結婚の約束をした覚えがない。
不安になって花京院を見れば、驚いたような顔で私を見ていた。まるで「君、誰かと結婚するのか？」とでも言うように。
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作者名：中条琉乃 | 作成日時：2017年10月10日 22時
