21話-7 新たな人質？ ページ35
「お前の『スタンド』？ お前？」
「い、いえ！ あ……あなた様の『スタンド』の力と正義は何者よりも優れていますですッ！ 耳から入ろうー……なんて考えてるわけないじゃないですか、敵わないから戻ってきただけですよ〜……ひィィィッ！ 痛ッ、み、見てくださいッ！ 今ので腕と足が折れましたッ！ もう再起不能ですッ！ 動けません！！」
一瞬だけやめた命乞いをさらに続けるダン。今も彼のスタンドは押しつぶされ、骨があらぬ方向へと曲がっていく。
今まで無言を貫いていた承太郎はようやく口を開いた。
「そうだな……てめーから受けた今までのつけは、その腕と足で償い、支払ったことにしてやるか……。もう決して、俺たちの前に現れたりしないと誓うな？」
「誓います！！ 誓います！！ 獄門島でも行きます！ 地の果てへ行ってもう二度と戻ってきません……！」
「嘘は言わねーな？ 今度出会ったら千発その面へ叩き込むぜ」
「言いません、決して嘘は言いません！」
へこへことダンは何回も頭を下げる。その様子に承太郎は、一応慈悲の心を持ってスタープラチナのつまんでいるものを放してやる。
「消えな」
くるりと踵を返し、ジョセフさんたちがいる方向へ向かおうとする承太郎。私もそれについて行こうとするが、ゆっくりとダンが起き上がるのに気付いた。
その様子は、先ほどの逃げようとしていた雰囲気ではなく、明らかに殺意を秘めていたのだ。
「……承太郎〜〜、ぐははははははは――――っ！ バカめェェェ〜〜〜っ」
ダンのセリフに承太郎の足が止まる。彼は私に指をさしてニヤニヤと下卑た笑みをうかべた。
「今そこのお前の仲間の耳の中に私の『スタンド』が入った！ 脳へ向かっているッ！ 動くんじゃねー承太郎ッ！」
「……さっき承太郎に手放されたときに入れたのね……」
それにしたってやることなすこと、すべてがワンパターンで少し飽きる、面倒だ。
「ウクッウクッ、ウククククククク……今からこのナイフでてめーの背中をぶつりと突き刺す！ てめーにも再起不能になってもらうぜ！ 『スタープラチナ』で私を襲ってみろ！ その女は確実に死ぬ！ まさか我が身可愛さに見殺すわけはねーよなあ〜、うぬあははははははーッ」
高笑いするスティーリー・ダン。……とりあえず私が自分でラバーズを取り出す方法も無いので、ダンが自滅するか花京院たちがこっちに来るかを待つしかないというのが現状だろう。
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作者名：中条琉乃 | 作成日時：2017年10月10日 22時
