20話-4 『恋人』 ページ25
「出しな、てめーのスタンドを」
敵に囲まれているにもかかわらず、ダンは嘲笑を隠さない。それがさらにこちらを煽る。
「ふっふっふ……そう急くなよ、今はお茶の時間だ。お茶請け代わりに面白い話をしてやろう」
「おいタコ！ カッコつけて余裕こいたふりすんじゃねえ、てめーがかかってこなくてもやるぜ」
「どうぞ、だが君たちはこの『
ダンが言い切る前に承太郎がスタープラチナでぶっ飛ばす。彼は血を噴き出して吹っ飛ぶが、それと同時にジョセフさんの体も同じように飛んだ。
「なに！？」
「じょ、ジョセフさん！？」
「ど、どうしたジョースターさん！」
「……ぐうう、このバカが……まだ説明は途中だ」
よろめきながらダンは立ち上がる。ジョセフさんも自身に何が起こったのかわからずに自分の口から噴き出した血を見る。
「もう少しで貴様は自分の祖父を殺すところだった。いいか、この私がエンヤ婆を殺すためだけのために君らの前にこの私の顔を出すと思うのか？」
「き、きさま『恋人』のカードのスタンドとか言ったな……。い、いったいなんだそれは！？」
「もうすでに戦いは始まっているのですよ、ミスター・ジョースター」
戦いが始まっているというならば、向こうはすでにスタンドを出しているはずだ。スタンドを探してあたりを見渡すが、にぎわう街の人たちしかわからない。
「愚か者どもが……。探しても私の『スタンド』はすぐに見えはしないよ」
そう言いながら彼は金を取りだし、道の掃き掃除をしていた少年に声をかける。
「おい小僧、駄賃をやる。そのホウキで私の足を殴れ」
子供は戸惑った様子で金と彼を交互に見る。ダンは子供を睨みつけながら再び強く「殴れ」と命令し、子供は怯えながらもホウキの柄で思い切りすねを殴った。
「うげぉッ！！」
叫びはダンからではなく、背後にいるジョセフさんから聞こえた。
「ど、どうしたジョースターさんッ！」
「いっ、痛いっ！ わけがわからんが激痛がッ！」
「気が付かなかったのか！？ ジョセフ・ジョースター！ 私のスタンドは体内に入り込むスタンド！ さっきエンヤ婆が死ぬ瞬間耳からあなたの脳に潜り込んでいったわ！」
「なにっ！？」
「今……私のスタンドはお前の脳内、体内の神経の出発点、脳幹と呼ばれるところにいる。何故だかわかるか？」
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作者名：中条琉乃 | 作成日時：2017年10月10日 22時
