20話-2 新たな刺客、鋼入りのダン ページ23
彼がそう言った時だった。
「あ、あ……あバババババァ――――ッ」
「なっ、なんだァ――――ッ、この触手は――――ッ！？」
エンヤ婆の穴という穴から触手が飛び出してきたのだ。見えた瞬間に承太郎と花京院が前に乗りだし、視界には入らなくなったが、ヒュン、ビチッ、というリアルな音が聞こえる。ピチャッと水、血が撒き散る音も耳に入ってきて、その惨状は嫌でも想像できてしまった。
そんな状態でもまだ彼女は生きているらしく、呼吸を乱しながら男に言い放った。
「なぜ貴様が、このわしを殺しに来る――ッ！ スティーリー・ダン！！」
「DIO様は決して何者にも心を許していないということだ、口を封じさせていただきます。そしてそこの五人……お命ちょうだいいたします」
ブツブツと、肉の裂ける音。いや、管が千切れる音かもしれないがそんなことはどうでもよかった。吐き気がする、これほどまでに不快だったのはタワー・オブ・グレー以来かもしれない。
エンヤ婆は叫び、その後地面に倒れる音がした。血しぶきが私たちにまでかかる。私はそれをただ見ることしかできない、恐怖で体が固まってしまったらしい。
「おっと失礼、自己紹介が遅れました。わたしの名はダン……
「なんてことを！ このバアさんはてめーらの仲間だろうッ！」
「うそ……う……うそじゃ、DIO様が、このわしにこんなこと……するはずが……ない……」
触手のうごめく音が聞こえる、ピュンピュン、ビチビチとやけにうるさい。
「ばあさんの体から出ているのは『スタンド』じゃあないぞッ！ 実体だッ！ 本物の動いている触手だ！！」
触手が、実体？ 触手なんてスタンドでもないかぎりあるわけが……。そこまで考えて気づく。実体の触手を私たちは見たことがあるはずだ！
「まさか……ッ！？」
「あの方が、このわしに、このようなことをするはずが……『肉の芽』を植えるはずが……DIO様はわしの生きがい……信頼し合っている……」
「『肉の芽』！？」
「ばあさん！」
ポルナレフがエンヤ婆に呼びかけながらチャリオッツを出す。素早く触手を細切れにすれば、切り落とされた触手は太陽光によってチリになった。
「こ、これは！ 太陽の光で溶けたぞッ！ DIOのヤツの細胞の『肉の芽』だッ！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：中条琉乃 | 作成日時：2017年10月10日 22時
