【ﾎﾞｶﾛ】僕の歌のお兄さんは。【ｵﾘｼﾞﾅﾙ要素含】

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A「え？」
思わず､己の動きが止まる｡AKAITOは静かに此方を見ていて､どこか悲しそうに立っている｡
A「従うもなにも･･･あたし､命令とかしないし･･･」
A「あ･･･と､悪ｨ｡」
はは､と笑い背を向けるAKAITOに､あたしは部屋を何処にするかを考えさせられた｡

どうしよう｡今ちゃんと笑って言えてただろうか｡

従う｡
命令｡
否定｡
暴力｡

少しだけ､過去を思い出した｡


＊＊＊

彼が来てからの生活に､会話は殆ど無かった｡
家にはペットもおらず元々一人だったので､支障がないと言えばそうなのだが､
彼が来てから「人に見られる」と言うのを意識するようになった｡
2,3日に一度入ればいい方の風呂や､伸びっ放しの髪の毛を気にするようになり､無意識にだが部屋の中を歩くようにもなった気がする｡

AKAITOはと言えば､与えたPCを使って差し支えのない程度に唐辛子等の辛い物を購入したりとやはり話すこともせず淡々と生活している｡
当初AKAITOには3億程与えたが､「そんなに必要ない」と100万しか受け取らなかった｡
家具は初日に2人でネットで赤と黒系の家具を一式そろえ､次の日には一括で払った｡
その時には「コレ」と家具を指差す以外話さなかった｡

彼は気が利かないように見えて､結構周りを見ている｡
風呂に入る際持って行き忘れたバスタオル等をそっと置いておいたり､気付くと外に出ていって買い忘れていた乾電池を買ってきたり――･･･

結婚して数十年の夫婦みたいだ､と思いよく笑うようになった｡

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