18話:囚われの身 ページ20
？「.......ん、」
身体の痛みに少しだけ顔を歪めながら起き上がる男。○のメンバー、○○だ。
○「なんで俺、こんなとこに......」
周りを見渡しても、見事なまでに何もない。場所が特定できそうな物はもちろん、机や椅子といった日常生活に必要そうなものも一切ない。
唯一、物、と言えるのは○○の手に取り付けられた手錠。
後は、壁。
のみである。
○「んだよ、これ.....」
呟く○○の瞳には、困惑の色がはっきりと浮かんでいる。
ぶつぶつと不満を漏らしながら部屋を見回す○○。
すると、その部屋に一つだけあったドアが音もなく開く。
？「○の○○くんだよね？この部屋は気に入った？」
入ってきたのは年端もいかない少女が2人。
○「誰だよ」
警戒しながらも、静かに尋ねる○○。
？「私はハミル。こっちはシウネー」
？「よろしくね、○○くん」
年上であるはずの○○にタメ口で話す2人。○○は一層困惑した表情を見せる。
ハ「○○くんをここに連れてきたのは私たち。○○くんのチカラを見たいと思ってさ」
シ「だからしばらく、ここにいてもらう。気に入らないなら、僕らと勝負する？」
淡々と説明するハミルに、挑発的な目を向けるシウネー。対照的な2人だが、どちらも口元に微笑をたたえている。
○「勝負なんてしないよ。君たちは、《神の目》をつけてない。ってことは、ただの能力者じゃないんだろ？........ただ、付けてないだけじゃないなら」
シウネーとハミルが顔を見合わせ、満足そうに微笑む。
シ「その通り。ボクらはスピリット.....《精霊使い》さ」
ハ「そして、《妖精使い》でもあるよ」
スピリット....この世界のどんな能力者をも上回るチカラを持つといわれる人間。サラマンダー、シルフといった精霊を操る。また、《妖精使い》は、自分たちが能力を使えないため代わりに能力を持つ妖精を操る人間だ。
2人のその返答に、わかっている、とでも言いたげに苦笑を浮かべる○○。
○「スピリットに俺みたいなのが勝てるわけないでしょ。それで？何すればいいの」
○○のその言葉に、嬉しそうに顔を輝かせる2人。
ハ「○○くん。○○くんの、《闇》の能力が欲しい」
発せられた言葉の意味が掴めず、無言で2人を見つめる○○。
シ「実はボクら、闇の妖精のチカラだけは操れない。だから、キミのチカラを借りようかと思ってね」
訳がわからないというように、顔を横に振る○○。
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作者名：キル・ハーヴェイ | 作成日時：2018年3月14日 13時
