３ ページ42
.
賑やかな食事も終わり、各々自由に過ごすまったりとした時間。
結局あの車内での大騒ぎによって目覚めた五郎は、兄弟達の心配を他所に、機嫌も体調も悪くなく。
食事の準備が出来ると珍しくニコニコと食卓につき、好物のカニクリームコロッケを頬張るほどだった。
そして今はソファでごろごろしながらテレビを見ているようで、時折笑い声が漏れ聞こえる。
「良かったよー落ち着いてくれて」
「本当に。拍子抜けするくらいけろっとしてんのな」
「夕飯も結構食ってたしね〜」
「風呂いいよー」
ダイニングテーブルで食後の茶をすすりながら、末っ子の回復を喜ぶ3人の元へ風呂上りの四郎が声をかける。
「さぶ入っといでー」
「え、いいの？じゃ、お言葉に甘えて…」
そう言って腰を上げた三郎を二郎は目の端で見送り、何となくテレビに視線を向けた、その時。
「えっ！！うそっ！！ごろっ！？ごろ、大丈夫！？」
突然響いた三郎の叫び声に、弾かれるように全員がリビングのソファへと駆け寄る。
そこには、丸まって大きく肩を上下させる五郎の姿。
「またか！やばいな…っいちくん、車出して！！」
「じろ兄、吸入！」
「サンキュ。ごろう、身体起こすぞ」
「じろちゃん、ネブライザーとかいる！？」
「いや、いい！もうこのまんま行こう。メーターだけちょうだい！」
一気に家の中の空気が、ピンと張り詰めたものに変わる。
ついさっきまで聞こえていた笑い声が、途切れていることに気付かなかった。
病院での処置が必要な程の発作が治まってから、まだ数時間。
いまこのタイミングでまた発作となれば、身体への負担が大き過ぎる。
二郎は自分の中で湧き起こる焦りを必死で抑え込みながら、車へと乗り込んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 154人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にひひ - とっても面白かったです！ありがとうございました。 (2020年8月1日 7時) (
レス) id: 6032ca778f (このIDを非表示/違反報告)
はちこ(プロフ) - にひひさん» お待たせして、申し訳ありません。ご希望に添えたかどうか不安ですが…リクエストありがとうございました。 (2020年7月31日 18時) (レス) id: fdcdcf1450 (このIDを非表示/違反報告)
にひひ - リクエストです。雨の日に発作が起き家の治療でも治らず病院へ発作が収まり家に帰るとまた発作がというお話をお願い致します。発作はどっちも大きいものでお願いします (2020年7月24日 17時) (レス) id: 6032ca778f (このIDを非表示/違反報告)
はちこ(プロフ) - にひひさん» ご期待に添えるものが書けるかどうか分かりませんが、それでもよろしければリクエストお受け出来ます。 (2020年7月23日 21時) (レス) id: fdcdcf1450 (このIDを非表示/違反報告)
にひひ - リクエストいいですか？ (2020年7月23日 15時) (レス) id: 6032ca778f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はちこ | 作成日時：2020年4月23日 20時
