５５ 和side ページ5
「５０００円あげるから！」
母さんのあの言葉に釣られて行ったオーディション
会場に行った時点で俺の中のミッションはクリアしてたから、周りが一生懸命踊ってる中、うしろで座って母さんに手振ってた
そんなやる気ゼロの俺に声をかけてきたのは、まさかの社長
そのやる気の無さが逆に良かったんだってさ(笑)
その後もダンスレッスンとかコンサートのバックダンサーとかに呼ばれるようになって
あれよあれよという間に、MAINなんてグループが結成されたり
初めてテレビに映った時は家族が大喜びしてたっけな
先輩の後ろで座って揺れてただけだけど(笑)
やる気こそ無かった俺だけど、演技とダンスはやってて楽しいと思えて
特に、何もわからないまま出演したドラマで、この世界の厳しさと楽しさを学んだ
あぁ、こっちの世界で生きていきたいなって
ドラマの裏方さんの世界に惹かれて、色々な人に話を聞いたりしてたのに
まさかの嵐としてデビューが決まって
翔ちゃんと直談判しに行ったけど、社長にうまく逃げられた
事務所に入った時と同じく、最初こそやる気も無かったけど、嵐にも、俺にも
応援してくれる人がいるって
初めてのコンサートで実感してからは、期待に応えなきゃって思えるようになったんだよな
演技もバラエティーも、全ては嵐のため
グループに還元するために
どんな仕事も自分なりに一生懸命取り組んできた
でも、その妨げとなったのが腰の持病
バラエティーでも長時間立っていられなかったり
１０周年の国立のコンサートの時とか、絶不調だったなぁ
１５周年のハワイでも腰やっちゃって、演出を変えてもらったり、迷惑かけちゃった
精神的にも、身体的にも、１人じゃ辛い時に、必ずそばで助けてくれるのがメンバー４人で
何度も何度も、その手に、優しさに、助けられてきた
だからこそ
恩返し…じゃないけど、しっかり今回のマラソンを完走して、頑張ってる姿を見せたいんだ
左手に光る、黄色いブレスレット
今となってはすっかり「俺の色」になった
５色のものを見かけると嬉しくなるのも、つい揃えたくなるのも、嵐が大好きだから
普段は恥ずかしくて言えないけど
俺、本当に嵐が好きなんだよ
４人がいてくれたら、他に友達はいらないと思ってる
そんな人達に出会えただけで、俺は人生勝ち組だよね
ふふ
こんな優しい人達、他にいないもん
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作者名：風月
| 作成日時：2022年10月9日 14時
