嫌いになりたいと思う恋【黄瀬涼太】

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大輝は特別何も言わずに
ただ私が泣き止むまでいてくれた。






大輝がどんな気持ちで
私のお願いを引き受けてくれたかは分からない。






大輝を使ったことは
一番卑怯な手だってことは分かる。





でも大輝となら...
きっと涼太も納得すると思った。




大輝との仲を心配していたから...




だから納得すると思った。

けどその分...涼太を傷つける。






それは分かってた。







だけど私にはこんな方法でしか
涼太を守る方法が分からなかった。









涼太に嫌われればいい。




涼太を裏切った最低な女でいい。









だから涼太の記憶から私を消して。









次の日、予定通り週刊誌に写真がのった。







黄瀬涼太！初のスキャンダル！


中学校から彼女とひっそり愛を育んでいた！






そんなタイトルだったと思うけど
私は見ないようにしてた。


モザイクのおかげで大学ではあまり騒がれずに済んだ。





各局のニュースでも取り上げられてて
涼太の偉大さを改めて実感した。









黄瀬涼太、緊急記者会見！！




そんな速報が流れたけど
私には見る資格も無いし
見る勇気もなくて...テレビを消した。







次の日のトップニュースでは...
" 黄瀬涼太、一途に愛した彼女と別れていた！
今は仕事一筋ー！！！ "


そんな見出しになっていて少し安心した。






嫌いになれたら...
きっと楽なのに。




嫌いになろうと思えば思うほど
好きって思い知らされるんだろうな。









大輝とはあんなことがあったからって
何か進展する仲でもなく

何一つ変わらない。






それが唯一の救いだった。









涼太と別れた次の日...

ポストには涼太の合鍵が入っていた。









それを持って私は不動産屋に行き...
新しいアパートを探した。









涼太とのたくさんの思い出が詰まったこの部屋。


涼太を深く傷つけたこの部屋。




ここにはいたくなかった。





家具や食器も全部処分した。








指輪だけは...どうしても捨てれなくて
今も私の部屋にしまってある。









いつか...きっと...忘れられる。


そう思って前に進むしかない。









涼太と別れて２年くらい。



最近は涼太のドラマも観れるようになった。






涼太の活躍の幅は広がっていて
涼太が活躍すればするほど

私の選択は間違ってなかったって思えた。

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