吉野順平ガチ勢が原作をぶっ壊す話【呪術廻戦】 (ページ34)

今日:9 hit、昨日:18 hit、合計:539,349 hit

ヒーローは遅れてやってくるってもんよページ34

Noside

｢なんで……避けないんだよ…｣

｢……ごめん、何も知らないのにえらそうなこといった、何があったか教えてくれ…｣

順平が放った澱月の針をもろに受け

体から血を流してもなお、悠仁は彼に寄り添おうと足を動かした

｢俺はもう、絶対に順平を呪ったりしない｣

悠仁の言葉に、順平は恨みで流れることのなかった涙を流して

嗚咽を混じえて話し出す

それを聞いた悠仁は息を飲んだあと、苦しげに眉をひそめた

｢順平、高専に来いよ……一緒に戦おう。でも、その前に…Aから頼まれてることがあるんだ｣

｢A……から…？｣

その名前を聞いた途端、順平は顔を上げた

なにか彼にとって、Aという存在は、明るい道を歩むにあたって

必要不可欠な存在だったのだ

そして、悠仁が何かを言おうとしたその時

彼らの背後に足音が忍び寄る

｢初めましてだね、宿儺の器｣

声の主、真人はそう言うと共に変形させた手で悠仁を拘束し、悠仁は焦ったように叫ぶ

｢順平…！！そいつとどういう関係かは知らん！でも今は逃げてくれ…！！！｣

｢落ち着いて虎杖くん！真人さんは…｣

｢Aが……！！！！！彼奴が、最後に俺に頼んだんだ！！もし順平が道をはずれてしまった時、その時俺がいたなら、何も考えずに逃げてくれって！！｣

悠仁の叫びに、順平の魂が揺れる

止まることなく、早まることも無く

真人は足を進める

｢だから……ッ、だから頼む…！！！！｣

『《約束をしよう、順平がもし、どうしようも無い場面に立ち会ったら逃げて、逃げた先には必ずボクがいてあげるから、それともし…順平が心から人に助けを求める時…》』

《ボクの名前を、呼んでくれないかな》

順平の脳裏にAの笑顔が浮かぶ

真人が順平に触れる寸前

順平は強く廊下を蹴って走り出した

Aはもう居ない、もう会えない

もう声を聞くことも、映画を見ることも、彼の笑顔を見ることも

彼の気持ちに答えることも出来ない

ひとつは破ってしまった約束、もうひとつは守って欲しいなんて虫が良すぎる

けれど……どうか…！

｢Aッ！！！！！！｣

君がまだ、僕にその笑顔を向けてくれる

心があるのなら

そう、順平が強く願った刹那

階段の上の窓ガラスが割れ、影が真人を捉えた

『約束、守ってくれたね』

暗闇に落ちるはずだった道筋が、光によって崩れ去った