２６音 ページ28
．
「A」
『先生』
目の前には、
『どーしたんですー？早く神谷を助けた方がいいんじゃないですかー？』
「…！！お前、また……ッ」
怒りで目が眩んでくれるといいんだけど。
『貴方と話す時間はないのでー』
先生は私の横を走り抜ける。
お願い、バレないで。
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部屋に着くと、呪力を解く。
一気に血が溢れ出す。
どうしよ。
まだ生きてるうちに
電話をかけると、ほぼワンコールで出た。
ウケる。
「もしもし」
『あ、先生？』
「何だよ」
うわ、若干キレてんね。
『神谷の、終わった？』
「あぁ」
『そっか。よかったー。
ねぇ、特級でしょ？先生。
私の演技は』
沈黙。
混乱しているのだろうなと、少し笑った。
『くくっ……皆には言わないでね、先生。
バイバイ』
そして電話を切る。
近頃は目が見えてなかった。
痣はどんどん、私の命を吸い上げていった。
今日で最短、明日で最長のこの命。
誰にも伝えなかったこと。
もう、ベッドまで行けないな。
出血のせいか、脚も手も動かない。
ただ血の流れる音だけが聞こえる。
自身の血の海に倒れ込む。
バイバイ先生
バイバイ先輩
バイバイ野薔薇
バイバイ伏黒
バイバイ、悠仁
さよなら。
最期に一つだけ……
好きだよ、悠仁。
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作者名：しぐれ | 作成日時：2022年1月24日 21時
