27音 ページ29
〈No side〉
神谷明里の一件から2日。
誰も霞Aがいないことを気に留めなかった。
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最初に異変に気づいたのは、伏黒だった。
「なぁ、霞、見なくね」
「別によくない?あんな奴」
虎杖がそう言う。
「お前、霞のこと好きじゃなかったか?」
伏黒の問いに、虎杖は寂しそうに目を伏せて答えた。
「今となっちゃ、過去のことだよ。あんな奴だとは思ってなかった」
「そーよ。ほっときなさい伏黒」
釘崎もそう言う。
伏黒は釈然としないような顔をしていた。
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〈伏黒side〉
ここ2日も霞を見ない。
いつもならしれっと顔を出して神谷をいじめるのに。
何か、おかしい。
考え事をしながら寮の部屋に戻ろうとする。
「……?」
どこからか、鉄臭い匂いがした。
何だ?
神谷か?
いや、アイツは多分医務室だ。
家入さんから消毒に呼ばれてた。
じゃあ誰……
「!」
いつの間にか女子棟に来ていた。
一段と血の匂いが濃い。
こんな匂い、釘崎たちは気付いてないのか?
ふと、足元を見やる。
「!?!」
一つのドアから、何か流れていた。
赤い。
霞の部屋だ。
「霞?」
ドア越しに呼びかけるが、返事はない。
鍵は……開いてる。
「開けるぞ」
一応一言断ってから開ける。
中の光景に、俺は息を呑んだ。
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あり得るんでしょうかね。
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作者名:しぐれ | 作成日時:2022年1月24日 21時