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21音 ページ23

最大の敵は文字数だ
評価おなしゃす。

_________________


そうだな……何から話そうか。


『私の術式は知ってんだよな……



私について話そう。


天与呪縛


私には視力の代わりに、並外れた聴力が備わった。

だが、本来なら私は暗闇の中……何も見えないはずだった。視力零ということだ。

しかし、微かに…朧げに見えた私の目に、神は今更代償を寄越せと言った。

その代償が、これだ』


前髪をかき上げる。

額の痣が露わになる。


「!…それは」

『痣だ。昔、母相手に一度跳ね返ったことがある。そのときは何ともなかった。

でもこの間、一級レベル相手に跳ね返った。
そのせいかな。

この痣は、いつか私の目を殺す。

そして


私の世界は音だけになる』



「それを、今まで黙っていたのか」


その声は、微かに怒気を孕んでいた。


『あぁ。

ま、信じるか信じないかは自由だからねー』


「…そうか、今日はもういい。帰っていいよ」


私は部屋を後にする。





_________________


自分の部屋に戻ると、扉に背をつけ、そのままズルズルと下へ蹲み込んだ。


『……ッ…』



今更泣くんじゃねぇよ。


腹を括ったんじゃなかったのかよ。



……吹こう。





何もかも












忘れてしまえればいいのに。






_________________

フルートを取り出す。


《一音一音を大切にしなさい》

母の言葉を思い出す。



紡がれるメロディは、切なく、哀しく、儚い。






自然と、涙が零れた。









_________________
〈虎杖悠仁side〉

どこからか音が聞こえた。


…アイツの部屋か。


霞。



「……っ」


部屋から漏れ出す音は、泣いてるみたいだった。




「……なん、でだよ…」


なぁ





戻ってきてくれよ







A




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作者名:しぐれ | 作成日時:2022年1月24日 21時

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