21音 ページ23
最大の敵は文字数だ
評価おなしゃす。
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そうだな……何から話そうか。
『私の術式は知ってんだよな……
私について話そう。
天与呪縛
私には視力の代わりに、並外れた聴力が備わった。
だが、本来なら私は暗闇の中……何も見えないはずだった。視力零ということだ。
しかし、微かに…朧げに見えた私の目に、神は今更代償を寄越せと言った。
その代償が、これだ』
前髪をかき上げる。
額の痣が露わになる。
「!…それは」
『痣だ。昔、母相手に一度跳ね返ったことがある。そのときは何ともなかった。
でもこの間、一級レベル相手に跳ね返った。
そのせいかな。
この痣は、いつか私の目を殺す。
そして
私の世界は音だけになる』
「それを、今まで黙っていたのか」
その声は、微かに怒気を孕んでいた。
『あぁ。
ま、信じるか信じないかは自由だからねー』
「…そうか、今日はもういい。帰っていいよ」
私は部屋を後にする。
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自分の部屋に戻ると、扉に背をつけ、そのままズルズルと下へ蹲み込んだ。
『……ッ…』
今更泣くんじゃねぇよ。
腹を括ったんじゃなかったのかよ。
……吹こう。
何もかも
.
忘れてしまえればいいのに。
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フルートを取り出す。
《一音一音を大切にしなさい》
母の言葉を思い出す。
紡がれるメロディは、切なく、哀しく、儚い。
自然と、涙が零れた。
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〈虎杖悠仁side〉
どこからか音が聞こえた。
…アイツの部屋か。
霞。
「……っ」
部屋から漏れ出す音は、泣いてるみたいだった。
「……なん、でだよ…」
なぁ
戻ってきてくれよ
A
.
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作者名:しぐれ | 作成日時:2022年1月24日 21時