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「「Aっ!?」」
「Aちゃん!」
慌てたような声色に、Aは顔を上げて
「っ、ハルヒが______ 」
振り向いた瞬間視界に入ったのは、怯えたような姫達で
言うのを
ぐ、と踏みとどまる。
「大丈夫ですか?お嬢様方?」
「「っわたくしたちよりっ、ハルヒくんとAくんがっ」」
目元にたまった涙が、ボロリ、とこぼれ落ちて、姫たちは泣き出してしまう
Aは困ったように双子を見て、助けを求める
しかし、動揺してるのは彼等も同じ様で
「……僕の顔、そんなに酷いかな?」
マズイ?と心配そうに姫達を覗き込めば、ボロボロと泣きながらふるり、と二人は同時に首を振る
「っだって…A君っ、血が…」
本気で心配そうな声でそんな風に言ってくれる。
人間いつでも血ぐらいでるよ。
地元の友達なら、そう一言言ってしまえばすむ話だが、彼女等は生憎お嬢様だ
友人と殴り合いの喧嘩なんて、きっとしたことがない。
「…、神楽坂さん、姫崎さん」
彼女ら二人の名前だ。
たまたま覚えていて良かったな、とAは思いつつ軽く首を傾げた
「二人は怪我、ありませんか?」
その問いに、コクコクと頷いて彼女等の無事は確かめられた。
じゃあ、もう問題ない
あとは、押しきってしまうだけだ。
Aはすっかり慣れてしまった笑顔をしっかりと浮かべ、目を細める
「そっか…じゃあよかった……」
彼女等の涙を拭うには汚れている手を諦め、
______いやぁ長袖のパーカーでよかった
暑くて仕方なかったはずの、長袖パーカーを初めてありがたいと思いながら
袖で涙を拭ってやる
「ほら、僕は全然大丈夫だからさ。泣かないで……
あ、それとも……やっぱ僕のこと、怖くなっちゃった?」
不安げに少し身を引けば、姫二人は、そのAの手を取り、小さく首を振った
「っ、いいえ……とても、助かりました」
「嫌いになんて、なりません」
まだ震える声に、Aは心底嬉しそうに
「そっか、ありがと」
『カッコいい』角度で笑い
「じゃあ今度は、ハルヒ迎えに行ってくるね」
彼女等を、駆けつけた使用人に預ける。
ぐらり、少し揺れる視界に顔をしかめれば
「お前バカなの?」
光が言う。
「いや馬鹿でしょ」
馨が紡ぐもんだから、Aは嫌そうに呟く
「よっぽどハルヒの方が馬鹿だよ」
言うなり浜辺に向かって走り出した
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ヒソク(プロフ) - 占ツクは普段あまり開かないんですがこの作品が好きすぎて定期的に見に来てます( ˘ω˘ ) (2020年8月5日 21時) (レス) id: 0e1031415e (このIDを非表示/違反報告)
れな - はやくみたい、明日もおねがいしやす (2020年4月18日 3時) (レス) id: ebfb4b5959 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ - 続き楽しみにしてますー!落ちとか気になってドキドキです! (2020年4月6日 5時) (レス) id: 71414e5053 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - おもしろくて一気読みしちゃいました!続きが気になって仕方ありません!誰オチになるのでしょうか…ワクワクドキドキ!更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2020年4月1日 21時) (レス) id: 3d109989cb (このIDを非表示/違反報告)
ネジ - いつも楽しく読ませて頂いてます!これからも頑張ってください! (2020年4月1日 5時) (レス) id: 71414e5053 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きゅういち | 作成日時:2020年3月6日 15時