89 ページ43
「海?」
問題用紙と参考書を見比べながら、ハルヒは一度顔を上げた。
「「イエース海☆」」
その動きに合わせて光と馨はパチリ、と手を合わせ見事なまでのシンメトリーな動きで応じる。
「本日で学期末試験も無事終了!!」
ガシャガシャとハルヒの頭を撫で回して
「後は夏休みを待つばかり!!」
参考書を閉じさせ
「てなわけでカリブがいい?フィジーがいい?」
問題用紙を取り上げ
「別荘だぞ〜〜!」
肩を叩いて
「やめてください〜〜。うちのハルヒをガシャガシャと扱うのは許しマセーン」
「「うっ」」
ぐい、と双子の袖を引きハルヒから無理やり距離を取らせるのは
「あ、A」
「はァい。Aちゃんでーす。それよりハルヒ。ここの問題どうやって解いたか教えてほ______ 」
馨が持っていたハルヒの問題用紙をスリながらAはハルヒに用紙をさしだす。
が、
「「はぁーい!だめでーす!答え合わせなんていーから!いーから!」」
夏休み前のハイテンションで、とんでもなく起き上がりと機嫌の良い双子はケラケラしながら
用紙を拐い
今度はAを巻き込んで、言う。
「選ばせてやるっつてんのー☆」
「どっちがいい?僕らは行き慣れてるからどっちでもいーよ☆」
ハハハ☆と心底楽しそうな双子に、ハルヒとAは『ええ』と息を漏らして
「「そんなお金ないよ」」
「貸すぞ?無期限有利子で」
間髪いれず教えてくれる鏡夜の言葉を全力で聞き流す2人にそのまま話は進む
「ちなみに水着はこれ☆かわいーだろ」
ばんっ!と既に用意されていた2つのマネキン。
それには普段以上に布の面積の少いソレが着せられていて
一方は薄いピンク
一方は鮮やかな紺
______うっわぁ
どちらも胸元がヒラヒラとしていて、お揃いかと思えば
ピンクの方は下が『ビキニ』と言われ一番に思い付くような、そんな形
腰元のリボンをほどけばおそらくソレが脱げる仕様
紺の方は下もヒラヒラとしている、ミニスカートのようなデザインで
どちらも可愛らしくて
思わずAは
__どっちもハルヒに似合いそ___
「どっちもハルヒに似合いそ」
言葉が口から出る。
少し飛ぶハートが、『ハルヒの水着姿』を想像しているからだというのは、回りから見て明らかだった。
266人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きゅういち | 作成日時:2020年1月28日 20時