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トキメくとか、惚れるとか、憧れとか。
それ以前の話。
、
楽しそうに笑うもんだから、良くない
、
それは無意識ならやめた方が良いと思うなぁ…という言葉を飲み込んで、私は目を逸らした。
いや、無意識ならやめようがないんだろうけど。
上手にピンのさされた前髪をもう一度手鏡で見れば、どう足掻いても『お揃いかよ』という言葉しか出てこない
しかしまあ、やってくれたことに文句を言うつもりはないし、
『お揃い』だからなんだ。というハルヒに似た雑な感情もあるし。
なんというか、今日が接客の日じゃあなくてよかった。
新たなネタ____キャラにされてしまいそうだし。
普通に前に立って
前髪を梳いて
自分のピンを抜き
私にくれる
その顔でお揃いと笑い
なぜか、答えまでくれた。
これはたぶん、トキメいて良いところなのだろう。
いや知らないけどさ。
そういう感情が無いからやってくれたのだったら、別にそう思う必要なんてない
______顔が整ってるって事は分かってるんだけどな
決して嫌いなわけではない。
光君にしろ馨君にしろ、我が儘の過ぎた高校男児(笑)くらいに思っていれば、本当に面白いし
だから、
______正面から笑われるとどうもな…
染まりもしない頬に、早くなりもしなかった鼓動。
だが、それでも
______だめだな、やっぱ
前にも感じた不自由感
既視感に私は息を吐き出した。
普段からトンデモ、ビックリ行動の多い彼等に慣れてしまえば
今度は本当に稀な、
その少し優しさに触れると どうにも______
もはやコレに関しては、私の感情の問題で
彼等に悪いところは何もない。
けれど
______調子が狂う
視線が合わない事に気づかなければいい。
そんな適当な願いを込めて私はまた、手鏡を覗きこんだ
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作者名:きゅういち | 作成日時:2020年1月28日 20時