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「確かに僕らはAがなんで桜蘭入ったのか、とか全然興味ないよ」
「う、うん。」
そこまで堂々と言われてしまえば、Aだってそうか。としか言いようがない。
馨は続ける
「でも、その人は多少なりとも『興味』があったから、聞いたんじゃないの？」
「ええ、でも」
「でもじゃなくて」
喋りながら馨は少し長いAの左前髪を、櫛で軽くまとめていく
「いや知らないけどさ、少なくとも話題に上がる程度には知りたかったんでしょ」
その髪を耳にかけてやりながら、馨は軽く微笑んだ。
「だってじゃなきゃ」
するすると紡がれる馨からの言葉にAは少し驚いていた。
興味がない事を前提としすぎていた。
『楽しい』は絶対ないし、面白くもないだろう。
と、勝手に。
だから
「じゃなきゃ……？」
その言葉の先を待つように馨を見返す。
パチリ、と目があった瞬間馨はニヤァと悪戯っぽく笑って
「Aみたいな性格の奴の話題なんて、振らないよ」
馨はそう言って、自分の髪を留めていたピンを一本引き抜き、Aの髪にさしこむ。
「ハイ、できた」
ぱっと両手を上げて、満足気にAを見下ろして、また笑う。
「Aだってそう思うでしょ？」
あっけからんと言われた言葉にAは一瞬ポカン。とした後
「っふ、ふははっ、ひひ、ははははっ」
笑い始めた。
その通りだなぁと
それはどうにも、一番しっくり来るような気がして
＿＿＿＿＿興味持ってくれたのかなぁ、じゃあ
埴之塚先輩はそんな人なんだろう。と。
この双子の片割れの言葉で簡単に片付いてしまうような事だったかと。
笑いが、止まらなかった。
「うん、そうだね。確かにそうだよ」
「でしょ？」
頷くことしかできないその言葉にAは微笑み、今度こそ立ち上がった。
「てかありがと、前までやってもらっちゃって」
「はは、ほら見なよ」
渡された手鏡を覗き込みAはまた笑う
「いや、馨君とお揃いかよ」
「これでイケメンの仲間入りだって喜びなよ。光と僕とお揃いなんだから」
「どこに喜ぶ要素があんの？」
ケタケタと笑う二人に光が一言
「髪形変えただけで僕らと一緒は無理だろ馨」
そんな言葉に馨は「確かに」と笑い
Aは「相変わらず失礼だな」と首をすくめた。
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作者名：きゅういち | 作成日時：2020年1月28日 20時
