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「埴之塚先輩やっぱか〜っこですねぇ」
「Aちゃんもかっこいいよ〜」




と、自分でも分かる。


なんて内容の無い会話だ。と







まあしかし、


蔦を軽く掴みピョンと跳ねればまるでアクション映画のような動きで対岸(?)に移動する埴之塚先輩は控えめに言ってかっこいい。








この足場の悪い謎のリーゾート。



勝手なイメージだが


なだらかな地面に慣れきってしまった坊っちゃんお嬢様は、歩くだけでも苦戦してしまいそうなのに




埴之塚先輩はすいすい歩く。








それは『流石埴之塚』というべきか



それとも、『流石先輩』というべきか。





どちらにせよ、憧れが増すのは分かっている。







「ねぇAちゃん」




私の少し先をひょいひょいと歩く先輩って、やっぱ凄いな。と思いながら私は返事をする。





この施設、施設の癖のよくできてやがる。なんて思いながら少しペースを早めて埴之塚先輩の隣に並_______






「Aちゃんはさぁ、なんで桜蘭に来たの?」



「、」





前に自分の足が少しすくんだ。



なぜ、突然。






「なんで…って」




答える内容には全く困らない。

別段、そんな難しいものじゃあないから。




でも、それを。

なぜ



今______?????







ただの世間話であってもおかしくはない。


それに、







「いくつか理由はありますよ?そりゃ。」




残念ながら、シリアスだったり、何か明確であからさまな答えがあるかといったら


まったくそうではない。









「桜蘭の特待って、オカネモチなだけあって学費とか教材料とかかなり免除なんです」





ただ、彼等に…埴之塚先輩たちとは縁もゆかりも無い話であろうから







「生活はできてます。でも、裕福ではないんですよね〜家は。」








そんな話、茶化したり興味深そうに聞くホスト部員がいないところで聞いて楽しいだろうか?







「しかも、ハルヒが桜蘭に行くって聞いたので」




口許が緩みそうになって、そのまま笑ってしまう。








「ハルヒと学校生活送れるんだから…、桜蘭に入って良かったと思ってます」







そう、本当に、悪い事ばかりじゃない。なんて






「ねぇAちゃん、あのね______」


埴之塚先輩の声と被るように





________ _ __

「抵抗するぞ!!!」
「威嚇射撃用意!」
「はっ」







人の声がした。

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作者名:きゅういち | 作成日時:2020年1月28日 20時

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