イナギャラ〜厨二病っぽい彼女は、あの人の妹でした〜

４５話の氷漬け ページ47

「……九坂くんは…、怖いんです……」


「「！」」


『好葉……』


好葉はしどろもどろながらも、勇気を振り絞って言葉を紡いでいるようだった。

みんなが彼女の方を向いて、次の言葉を待っている。


「…うちにはわかる…うちと、おんなじだから…」

「っ…怖いだ？俺が何を怖がってるっていうんだ…！」


「九坂くんは…怖いんです。…強くならなきゃみんなが離れて行ってしまうって……」


『＿＿！』



…みんなが、離れていく。みんなが離れていってしまうのが、怖い。

……ああ、私と、同じなのだろうか。

完璧でなければ、吹雪士郎の妹として、相応しく在らなければ。みんな、失望していなくなってしまう。


…九坂もそういう、気持ちなのだろうか。


兄さんのように、強くなければ。私は兄さんの名前に、泥を塗ってしまう。


私が私の手で、大好きな兄さんを、傷付けてしまう。



『っ……、…兄さん……』


「………」



…私は、ただ。兄さんと一緒に、いたいだけだったのに。

私は一体どこで、間違えてしまったのだろうか。

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