イナギャラ〜厨二病っぽい彼女は、あの人の妹でした〜

２１話の氷漬け ページ22

残る問題はひとつ、…ボールを持った真名部だ。

「真名部！こっちだ！」

「！」


「真名部！」

「瞬木にパスを出すんだ！」

「真名部！」

「真名部君！」

「早く！」


「くっ……、」



そして、＿＿渋々、とも見えたが＿＿真名部の出したパスは、


「「！」」

『…正確なパスだ』


ちゃんと、寸分違わず瞬木に通った


…さすが、日本計算超人コンテスト優勝の経歴をもつだけはある。


＊


「キャプテン！」

『……そろそろか』


瞬木から松風へ、綺麗なパスが渡される。…とは、いかない。


『──ボールはオレがいただくぜ！』

オレは二人の間に割り込んで、ボールを横から奪いゴールへ向かう。Aは指示通りだなんだと言っていたが、オレはこの得点のチャンスを狙っていた


「っ、刹那！戻って！」

「お前じゃ無理だ！」


…オレには無理？そんなこと、あるわけがない。
なにせ世界に手が届くってんだ。オレがやらずに誰がやる。


『安心しな！絶対決めてやる！』

「！」

「っ……」


ああ、久しい、この感覚。



『＿＿＿吹き荒れろ…エターナルブリザード！』


「大爆発張り手！」


『……ふん』

「うわあぁぁ！！」


…このシュートが相手ゴールに突き刺さり、私たちはめでたく同点に追いついた。

『…兄さん。…勝手にやめてくれ』

などとぼやいてみても、兄は今頃知らぬふりで、したり顔を浮かべているに違いない。
…同点に追い付いたのは、うれしいけれど。


「刹那！」

『…キャプテン』

「今の…必殺技使えたの！？」

『…兄さんの技だ』

「？…でも、ありがとう！おかげで同点に追いついたよ、これからも頼りにしてるからね！」

『…あぁ』

「こんな選手がジャパンにいたとは……」


…だって。良かったな、兄さん。

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