眠りの王子に花束を。【朔間凛月誕】 (ページ2)

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「大好きな君へのプレゼントだよ」

「は？」

扉を開けると、ぱんっと勢いよくクラッカーが鳴らされ、凛月の頭の上にキラキラと飾りが落ちていく。そして、レオの掛け声に合わせ

「お誕生日おめでとう！」

そう声をかけられた。まさか自分がこんなことをされると思ってもいなかったのか、若干放心状態のまま立ったまま。朱桜は心配して「め、迷惑だったでしょうか？」と不安そうな顔で問いかける。そんな彼すらも、面白くて思わず笑ってしまった。

「ありがと～、良い誕生日になった」

珍しく素直な彼に、Knightsは驚いていた。彼のために用意されたケーキや、クッキー。どれもこれも彼女が、手配してくれたのだった。凛月のためなのに、一番お菓子を食べているのは朱桜であったのだが。

「ねぇ、A」

「どうしたの？」

優しく微笑んだ彼の顔が近づいて、ふわりと甘いクリームの匂いがした。苺のように真っ赤になった彼女の顔を見て、嬉しそうに笑う凛月。

「顔、真っ赤だよ？」

「う、うるさい！」

そんな彼らを見かけた鳴上が、「他所でやって頂戴」と一言。お言葉に甘えて、凛月は彼女のことをガーデンテラスへ連れ出した。いつの間にか、日は沈み、星空が広がっていた。

自分のために、ここまで用意をしてくれた彼女が何だか愛おしくなって、凛月はぎゅっと抱きしめた。

「わっ」

「大好きだよ、A」

いきなりの言葉に、また顔が赤くなっていく。その頬をつつきながら、言葉を並べる。月並みな言葉でしか表現出来ないけれど、彼女のことが大好きなことに変わりはない。今までも、これからも自分のことを大切にしてくれるのは、彼女しかいないと思っている。依存してるなんて、言われるけれど彼はそれ程彼女のことを愛しているのだ。

「ふふ、お誕生日おめでとう。凛月」

可愛らしく笑う彼女に、ひとつ口付けを落とした。