眠りの王子に花束を。【朔間凛月誕】 (ページ10)

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先を見据えてページ10

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[凛月：ごめん、明日仕事になった]

この、たった一言のメールは私をどん底に突き落とした

明日は凛月と付き合ってから初めての私の誕生日
もう誕生日にワクワクするような年齢でもないけど
でもやっぱり彼氏がいる誕生日って特別だと思う

どんなことしてくれるのかな、どんな言葉をくれるのかな
プレゼントを期待してるのではなくて、凛月が私の事を考えて私のために何かをしてくれるという事をとても楽しみにしていた

愛されてるって実感が欲しかったから
愛されてない訳じゃないけど、こういう事があるとやっぱり不安になる

[A：そっか、お仕事頑張ってね]

文面上では、理解の良い女を演じる

やだよ！会いたいよ！
なんてワガママを言えるほど可愛い女でも無い

そもそも凛月は、そんな面倒な女は嫌いだろう

何でもない、普通の１日だ
そう自分に言い聞かせて布団に潜り込んだ

朝、起きると凛月から連絡は入っていなかった

会えないなら、おめでとうの一言くらい欲しかった
凛月から一番に聞きたかった

溢れ出てくる見たくない自分の感情に蓋をして、何食わぬ顔で今日を送るのだ

あと16,17時間でこの気持ちも楽になるだろう
それまでの辛抱

凛月のいない誕生日なんて、要らない

仕事場では上司や同僚に厚くお祝いをしてもらった
仕事の後に飲みに誘おうかと思ったけど、みんな口を揃えて「今日は彼氏とお楽しみかな～？」なんて言うもんだから誘うに誘えず、結局一人寂しく帰宅している

やっぱり1人で飲みに行けばよかったかな、なんて思いながらポストのダイヤルを回す
最近は誕生日だからかダイレクトメールが多い

「あれ、なんか入ってる…」

手紙より大きな、ポストギリギリの大きさの箱が入っていた

箱にはメモが貼ってあり

[happy birthday プレゼント開ける前に電話して凛月]

と書かれていた

凛月、仕事の前に来てくれたのかな
冷めきっていた心にぽっと何か暖かいものが降りてきた

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