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落ちてうずくまるアリババはクソ領主にボコボコに蹴られた。
「奴 隷の使い方…教えてやるよ。おいモルジアナ!お前がこいつを殺せ!!」
…やっぱイライラするなぁ。殺した方が良かったかな。
彼女の額から汗が流れるのを見て、まだ様子見の姿勢をとる。
この状況でのせめてもの救いは、彼女がファナリスであるが故に、自分の意思を保っていること。精神力も高いファナリスがああも縛られる程の暴行を受けてきたなら、普通の人間であれば心なんてバッキバキに折られてただのマリオネットになっていただろう。
だけど彼女は、心を保ちクソ領主のする事を望んでいない。…まぁ、保っているが故に縛られてもいるけれど。
「さあっ、やるんだ。モルジアナ。僕のために!」
彼女は剣を受け取り、クソ領主のほうを見る。
「殺れ」
…動く必要は無さそうだ。
光が突如としてこの場を照らし、彼女の持っていた剣から刃が消える。
光の発生源には、杖を構えたアラジンがいた。
「僕の笛、かえしてよ」
何か見た目がそれっぽいね。いかにもな感じ。
「いやいや返せないなァ…だって、君はその小汚い少年ばかりをひいきするじゃないか…。この僕を!ゴールへ導いてくれたら返そうか。ね!」
大爆笑なんだけど。
「僕の笛、返してよ。」
「力づくで奪ってみろよ。笛なしじゃ何もできないなら、こっちだって君になんか用はないんだよ…」
アラジンはボロい杖をジャミルに向けた。
「返して!」
アラジンが大きく深呼吸をして力を込める。そして杖を掲げると、魔力が集まった。
それは白い光の弾となって、モルジアナを壁へと吹き飛ばした。
「彼こそが・・・・・偉大なる創世の魔法使い…!
マギ!!!」
あ、それだ。そうそうマギだ。今だけクソ領主に感謝。
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