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「…のせいだ…お前のせいだーっっ!!!!」
剣をアリババに向けるクソ領主は、全身が小鹿のようにぶるぶるガタガタ震えている。対した能力も器も無いのに上から見下してばっかの奴のああいう姿を見てると楽しいの私だけか?
「よっぽど怖い目に遭ったみてーだな、領主さんよ…」
アリババの顔もゲッソリだ。
「でもよ、今さら何言ってんだ?ここは迷宮だぜ?地位も、血筋も、名誉も、関係ねえ。
誰もが人生懸けて命張る場所!!怖けりゃ家で震えてな。お坊ちゃんよォ!」
ド正論かつカッコイイ事言ってる所悪いが、私人生懸けて命張ってねぇー。スマン。
「もういい…黙れ…!下民には、実力で判らせねばならないようだな…!」
二人はそれぞれ剣を構え、戦闘体制に入った。…あれアリババが勝つなあ。笑っちゃうほどなっいし。
アリババの剣術にクソ領主は圧倒され、手も足も出ない状態になった。…にしてもあいつ、亡命やら難民やらした王子か貴族の妾の子かなんかか?どこで王宮剣術なんぞ覚えたんだか。
「大人しくしてろ。別に命なんか取らねえ。だからまず、アラジンの笛を返せよ!」
アリババはしりもちをついたクソ領主の首元にナイフをつけながらそう言うが、それは悪手だな。今殺した方がよかった。
クソ領主が彼女を呼んだ瞬間、彼女はアリババの後ろへと着いた。流石ファナリス。
彼女の回し蹴りを間一髪でアリババは回避する。結構やるのに何で最初あんなに情けなかったんだか。
明らかに動揺したアリババに、クソ領主はイキリまくる。小物臭ハンパない。
「おやおやどうした?観念したのかな君ィ〜」
「・・・・モルジアナ!俺たちと行こうぜ!!」
ニヤリと笑ったかと思うと、アリババは彼女に手を差し伸ばす。驚き…でもないか。彼女は変わらず無表情。
「考えろ。チャンスだろ!?ここは迷宮。あんたが領主様から逃げたって、誰もとがめやしねーんだぜ!こんなヤツ…怖かねーよ!自分のために…戦おうぜ!」
「…おい…モルジアナ…モルジアナ?」
アリババの企みは多分上手くいかない。それで上手く行くなら、彼女はとっくに自由だっただろう。
モルジアナはアリババの手を取ろうとしたが、そのままアリババの腕を掴んで隣の柱に打ち付けた。流石(略)
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