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塔へと辿り着き、再びアラジンに扉を開けてもらう。同じように立ち込めていた埃が舞い、それが晴れていった。
「な…なんだァ?こりゃ…」
「…物置か?」
宝物庫で財宝いっぱいかと思いきや石の置物だらけだった。
「おーい、二人共〜。なんかあったか?」
「残念なことに」
「ないねぇ〜。石でできたおきものばかりさ」
「だよなぁ〜、どうやらここは宝物庫じゃなかったみてーだな。」
見事なまでに石ばっか。金の字も宝の字もない。でもここがアタリだとは思うんだけどな。隅々まで見た方がいいとは思う。
…あ、もう来るなー。
「仕方ねぇ…他を当たろう!まだ建物はいっぱいあるさ」
「とりあえず、ここから出るか?」
「うん」
そう提案すれば、直ぐに乗っかってきた。
そしてここを出ようとすると、血だらけ巨体男が現れた。多分アレだ。
「わあああああ!」
「ち、ちくしょう、テメーやる気か!?」
「待てアリババ。よく見ろ」
そいつは数秒もしない内に倒れ込んだ。…生きてはいるが、どうするか。
「ひどい…この人、前が焼けただれちゃってるよ。」
アラジンが感傷に浸ってるが、もっと別の事に気を使った方がいい。…アリババは気づいたか。
「アラジン!!!」
アリババが叫ぶのと同時に、アラジンに蹴りが入れられた。
現れたのはクソ領主とファナリスの女の子。二人によると彼女はモルジアナと言うらしい。
アラジンを蹴り飛ばしたのは彼女だった。
ちなみに私は姿を見えないようにして傍観中。ここで手出ししたら意味がないからな。
「下民が…誰に口をきいている…」
うつむいたまままーだアホ言うクソ領主。
アリババはナイフを向けたままケッとつばを吐いた。
「下民も領主もここまで来たら関係ねーよ!この盗人が。まずはアラジンの笛、返せよ!話はそれからだ!」
「ふ…ふざけんじゃねえよ…弱くて…下品で…無能な…生きてる価値もねえゴミ人間のくせによぉ…」
何目線で言ってんだか。ぷー。
アラジンが心配になったアリババは助けに行こうとするが、足元に剣を突き刺され止まる。何気に無視するスタイル、嫌いじゃない。
「待ちたまえ君ィ…まだ君の刑は執行されていないじゃないか…」
「…刑?」
「そうだ!!なんなんだあの化け物は?なんなんだ、一体ここは…なぜこの僕があんな目に…!」
クソ領主の瞳は、恐怖で塗り固められている。やっぱこいつのタマちっさ。
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