俺の隣人はコミュ障らしい3【おそ松さん】

86時間目 ページ14

〜おそ松side〜




お「…………よっと、」



午後3時25分。


ぎこちない手つきで鍵を開け、
俺とAは保健室に入った。




ツンと鼻をつく消毒液の香り、







背中に背負い込んだAをベットに下ろし、パサッと毛布をかけた。







Aを抱っこしたの、いつぶりだろ。


相変わらず羽の様に軽いし、ちょっとでも力を入れたら壊れちゃいそうだ。









………………って、何感傷に浸ってんだ俺！？(汗)



つか、何でこんな事しちゃったの！？

何ヨユーこいて彼氏面しちゃってんの！？







もしAが起きでもしたら………








お「………………。(汗)」


チラッとAの方に目を向ければ、

額のてっぺんを赤く腫らせ、すうすう眠るAの姿が見えた。









……………早いとこ退散して家帰ろ。(汗)





ごちゃごちゃした棚の上から湿布を引っ張り出し、
そろそろとAの側に寄った。







ひんやり冷えた湿布をAの額に貼り付けると、
すべすべのAの肌が手に触れた。






…………………触れたい。





ゴクリと唾を飲み込み、俺はそっと、Aの頬に触れた。






滑らかで、すべすべの肌、

さらさらで、黒い髪の毛、







Aに触れるの、久々だな。




髪がちょっと伸びた。

顔立ちがまた変わった。

身長が伸びた。




いつの間にか、俺の知ってるAがAじゃなくなっていた。







綺麗になった、

可愛くなった、

大人びた、






Aの長い髪の毛を弄びながら、Aを見つめ続けた。







欲しい。


独占したい。





ふと、そんな願望が頭を過ぎる、






駄目だ、



まだ駄目だ。




耐えなくちゃ、


我慢しなくちゃ、






下唇を噛み、



俺はAの顔から、手を離した。









そろそろAが目を覚ます頃だ。




行かないと。







立ち上がり、歩き出そうと身を乗り出した瞬間、



後ろから手を掴まれた。








お「……………ッ、え。」




呻き声を出し、視線を落とせば、



パーカーの袖を掴むAの細い指。








『…おそ…松………』


お「……………ッッ。」





やがて、その指は俺の手の中に入り込んだ。






『………おそま……つ、……行かない…で…。』









何ヶ月振りだろうか、久々に聞いたAの掠れ声は、確かに俺の名前を呼んだ。






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保健室あるある。


by作者

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