22話 仲間のためだから ページ6
視界の端で、何かが動いた気がしてエルザに視線を戻すと、間違いなく彼女の目が開いている。
「エルザ!」
「ん…Aか」
「そうだよ! 良かった…目覚めて」
「心配かけたな。
お前が治療してくれたのか、ありがとう。」
「うん、まだ完璧じゃないから、そのまま寝てて」
エルザは言った通り寝たまま顔だけを窓の方に向ける。
「今、どんな状態なんだ?」
「ずっと外見てたわけじゃないから、詳しいことは分からないけど…」
ジュピターはナツが止めてくれたこと、そしたら本部が変形してあの形になったこと、あれを止めるために今皆が頑張っていることを簡単に話した。
「そうか…ありがとう、もう大丈夫だ」
「え…?」
そう言いながら、エルザは起き上がり、フェアリーテイルを出ていこうとする。
「待って! まだ安静にしてないと!」
「元々カイのおかげで案外私の被害は少ないんだ。カイの分も、私がファントムを討ち取ろう」
「そうじゃなくて、それじゃ強い敵と戦えないよ!」
「いや、戦えるさ」
「何で…?」
私の目を真っ直ぐに見て、エルザは笑った。
「…仲間のためだからだ。
仲間のためなら、私は何度だって立ち上がれる」
その姿は気高く、凛々しく、まさに
「仲間…」
「ああ、カイの治療は任せたぞ。
あと、カイにありがとうと伝えてくれ」
そう言って、エルザは外に出ていった。
カイ兄を見つめる。
「カイ兄、エルザもがんばって守ろうとしてくれたんだね」
エルザはもう大丈夫。
フェアリーテイルももう大丈夫。きっとね。
10人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みっちゃん | 作成日時:2020年3月27日 22時