28話 決着 ページ12
「おおっと!?」
目の前で倒れたAを抱き抱える。
カイを治療していたユニットも、
(こりゃ壊れるのも時間の問題かなーっ!)
急いで名前を左腕に抱え、右肩にカイを担ぐ。
(筋力ねえ俺一人にこの仕事任せるとか! ねーちゃん鬼畜!!)
この場にいないあの人に一人愚痴って、とにかく走る。
俺が出てから数歩で、フェアリーテイルは姿形なく崩壊した。
(あっぶね〜!!)
Aとカイを地面に寝かせて、俺も座り込んで一息つく。
その時、強烈な殺気を感じて後ろを振り返った。
「…ミワ、その2人は?」
「カイはファントムの攻撃からフェアリーテイルを守って、Aもそれで魔力切れ…ってひい!!」
(殺気強くなってますよ〜!!)
「ファントム…僕がいない間に好き勝手してくれましたね」
彼は、美しいほどに笑っている。
「少し、お仕置きです」
彼が歩いた跡からは毒の粒子でも巻き散らかされていたのかと錯覚するほど、重苦しい雰囲気が胸を締め付け、身体は石のように動かない。
彼が幽兵に向かってユニットを取り出すまで、瞬きすら出来なかった。
(こええ〜!! 泣く子も黙るレン様さすがっす!!)
「…レン、帰ってきたのか」
そう言って、身体を起こす。
こういう時、「安静に寝とけ」と言うのはそこが地面なので言いづらく、あとはカイなら大丈夫なんだろうと思った。
「お、カイ!! 良かった!」
「A…」
「感謝しろよ、お前とフェアリーテイルを守って魔力切れだ。
…結局フェアリーテイルは、間に合わなかったけどな」
「…そうか」
フェアリーテイルが崩れたからよく見える。
ねーちゃんのツクヨミが縦横無尽に敵陣を駆け回って殲滅してるのとか、ナオキのドラゴンが雷を伴った攻撃で敵を塵芥にしてるのとか、レンのドラゴンが敵を黒い炎で焼き尽くしているのが。
「もっと早く来れればな〜」
「結果論を話しても意味は無い」
「そうだな」
(何て説明してやろうかな)
静かに眠っているAの頭を撫でる。
(よく頑張ったよ、今は寝てな)
そうこうしているうちに、敵本部は崩壊。
俺たちは眩い光に照らされたかと思うと、次の瞬間には敵の姿はキレイさっぱり消えていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みっちゃん | 作成日時：2020年3月27日 22時
