17話 治療 ページ1
「ただいま!」
ギルドに入ると、ほとんど皆1階にいて、私の帰りを待っていた。
「Aちゃん! 良かった、心配したよ」
「ケンジ兄ありがと、私は大丈夫だよ」
「A! 全くファントムに不意打ちを食らうとは!
俺の弟子として恥ずかしいぞ!!」
「Aはお前の弟子じゃねーよ、モリカワ黙ろうな〜!!」
「でもその通りだよ、私はまだ弱いね」
他にもまだまだ人がいて、みんな話し足りないっていう気持ちが見えていたけど。
「はいはーい、皆Aが大丈夫だって確認したろ?
Aはねーちゃんの診察受けなきゃなんねーからお開き!」
ミワ兄が静止して、私を2階へ行くよう促した。
ミサキ姉がいるであろう2階の診療部屋に入ると、奥のベットでアイチ兄が寝ていた。
「ミサキ姉」
「A! 無事で良かった…」
優しく抱きしめられる。
「ごめんね、心配かけちゃって」
「ううん、それより、どこか怪我は?」
「ちょっと頭を…」
そう言って殴られた右側頭部を見せると、ミサキ姉は髪の毛を掻き分けて患部をまじまじと見ている。
「…血は出てない、けど。これ、何で怪我したの?」
「えっと、良く見えてないんだけど、感覚としては鉄骨で殴られた感じ」
「…そう、じゃあちょっと内部を見ないとわからないかな」
「内部?」
「うん、ちょっと寝ててね」
次の瞬間、目を開けると診療室の天井が見えた。
横を見ると、アイチ兄が寝ている。
「あ、起きた」
「あれ、何が…?」
「寝てたのよ。
Aが契約してるエンジェルフェザーのユニット借りて詳しく調べたけど、異常はなかったわ。
でも、しばらく安静にしててね」
「そうなんだね。ありがとう」
「どういたしまして」
そう言って、ミサキ姉は私にカードを手渡す。
そういえば、アイチ兄と出かけた時に持ってたオラクルシンクタンクのユニット達は、今敵の手にあるんだっけ…
「ミサキ姉、私のオラクルのユニット達、ファントムに奪われて…」
「…やっぱり、そうだったんだ」
「うん」
「でも大丈夫。
レン達は依頼早めにこなして帰ってくるって言ってたし、レオン達もやっとS級クエスト終わって帰って来るとこらしいから。
きっと、すぐに皆が取り返してくれるわ」
「そっか…!」
レン兄、レオン兄、カイ兄たちの力があれば、私の大切なユニットたちを取り返すことぐらい楽勝だろう。
でも、それで良いのかな…?
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作者名：みっちゃん | 作成日時：2020年3月27日 22時
