【utit】坂田さん、私、坂田家なんですが、すみません。今日、死にますね【tnrnskt.】

死ぬまで残り２４分 ページ7

急にボロボロと泣き出したにぃちゃんに僕はあたふたとしながも、涙を拭った。

「･･･なかったんです･･･」

『うん？なんて？』

最初の方の声が小さすぎて全く聞こえず、僕は首をかしげながらにぃちゃんに聞いた。
にぃちゃんは自分の服の裾を僕でも分かるほど強く握って口を開いた。

「･･･私のせいで、誰かを犯罪者にしたくなんてなかったんです･･･私が飛び出したとしてもきっとその人は酷いバッシングを受ける。だから私は･･･一人で死のうと思って･･･でも･･･私には、その勇気が、なかったから･･･」

その言葉に、僕も泣きそうになった。
死ぬというときもにぃちゃんが優しく、誰かのことを思ってくれていたから。
ここまで優しい人なんて、僕は会ったことがなかった。
なんでこんなにいい子が迷い、その末に死ぬという選択にいかなくてはならなかったのかが疑問で仕方なかった。

『･･･にぃちゃん･･･勇気って、そんな簡単に出るものではないと思うんよ。僕だって、色んな人に支えられて･･･やっと勇気でたりしたし･･･だから、そんな無理に出そうとせんでええと思う。それに、勇気を出すなら、もっと他のだってええと思うし･･･』

「まず･･･支えてくれる人がいませんよ･･･私」

僕から視線をそらすにぃちゃん。
にぃちゃんがあまりにも悲しそうに言うから、僕までそんな気持ちになってきてしまった。
僕は、にぃちゃんの手を握った。

『いないなら･･･僕がなるよ』

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