【utit】坂田さん、私、坂田家なんですが、すみません。今日、死にますね【tnrnskt.】

死ぬまで残り１２分 ページ19

泣きそうになっているにぃちゃんを笑わせたくて、色々と考えていた。
だけど何にも思い付かなくて、やっぱり考えることは苦手だと思った。
なら、僕のやり方でやればいい。

『にぃちゃん、明るい話しよっか！』

泣きそうな表情が困惑へと変わる。
僕は口角を上げて笑顔になった。

『どうやって僕のこと知ったん？』

自分のことを指差しながら聞くと、にぃちゃんは首を傾げたあと、顎に手を当てた。
その仕草にまるで漫画のようにキュンという効果音がつきそうな感じで心臓が跳ねた。

「私の携帯は元からYouTube入っていたんですけど、でも見たことなかったんです。つい間違えて開いちゃったとき、あなたへのおすすめのところに出てきたのか浦島坂田船でした。興味本意で曲を聞いたとき、１番気になったのが坂田さん、貴方でした。気になって、坂田さんを調べて、坂田さんの単体での曲を聞いた瞬間、涙が出てきたんです。その坂田さんの優しい声に」

その時のことを思い出しているのか、懐かしそうな表情と優しげな微笑みを見せながら、にぃちゃんは話した。

『僕･･･そんなに優しい声してた･･･？』

にぃちゃんはクスッと笑うと、はいと明るくて優しい笑顔を見せた。

「とっても優しくて、なんでも許されてるような気がして、希望をくれるような温かくて優しい声でした。だからなのか、すぐに坂田さんのこと好きになっちゃいました」

“好き”という２文字に僕の顔が赤くなっていくのが分かった。
堂々とこんなにもリスナーさんにほめられたことがなかったから、とても恥ずかしい。
でも、好きと言ってもらえて嬉しかった。

「絶対に他の坂田家さんも思っていますよ」

『そうかなぁ？』

思われていたら嬉しいけど、好きって言われるのならば、君が１番嬉しいと思う。
なぜなら･･･

「他にもありますよ〜」

『もー！わかったから！』

君が僕の好きな子だから。

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