今、逢いに行きます【煉獄杏寿郎】

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「杏寿郎、隣に引っ越してきた人たちだ。偶然にも父さんの親友でな」



笑う父と、隣に引っ越してきた家族の父親。
親友だという父の友人の後ろに隠れる女の子に、目を見開いた。



「ほら、A、挨拶しなさい」

「…………やだ」

「………はは、ごめんね、杏寿郎くん。この子は娘のAだ。仲良くしてあげてほしい」



顔を見せない彼女は、父親に背中を押されて嫌々ながら顔を出した。今にも泣き出しそうな顔をしている君に手を伸ばし、挨拶をしたあの日。



「ーーー俺は煉獄杏寿郎だ！あっちに生まれたばかりの弟がいる！一緒に行かないか？」

「……赤ちゃん？」

「あぁ、そうだ！」



俺の手に重ねられた手をしっかりと掴み、廊下を走ったあの時、笑顔を浮かべる君に、俺はまた恋をした。




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「杏寿郎の夢は何？」

「俺の夢は教師になることだ！それと、愛した人の笑顔を今度こそ、そばで見守る、それが夢だ」

「そうなんだ。……杏寿郎に愛された人は幸せものだね」



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「A、この前は唐突すぎて何も渡せなかったからもう一度やり直させてくれないか？」

「うん、いいよ」

「ーーー俺と、結婚してください。今度こそ君を一人にはしないと誓う。君の笑顔を守らせてくれないか？」

「………はい、もちろんです」




左手の薬指に光る指輪に涙を浮かべる彼女が「幸せ」と微笑んだ。




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「(俺の夢は、今漸く叶った)」



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