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「ーーー杏寿郎、お前はいずれあの子と結婚するんだ。薄々気づいておっただろう」



そう言われたのは何年前のことだろうか。



「俺とアイツと決めたことだった」

「…………俺は、Aとは結婚しない」



それが初めて父上に対して発言した反感だった。

5歳という幼い時に彼女に出会い、そして一緒に育ってきた。10を超えた頃からら密かに感じていた。きっとこれは親同士が決めたことなんだと。


彼女の両親が亡くなってからは尚更だ。

友との約束を果たすためか、俺と彼女をどうしても結婚させたかったようだ。だが、俺は彼女とは結婚しないとすぐに断った。



「何故だ、お前はあの子のことを好いているのではないのか?」

「だからです父上。俺は、Aの悲しむことはしたくはない」



Aが悲しみ、涙を流す姿なんて見たくない。
「俺はAが好きです」それだけ伝えて、父上の前を立ち上がった。


竹刀を持ち、玄関に行くと下駄を履いた。後ろからまだ幼い千寿郎が走ってやってくる。「兄上っ」と背中に飛びついてくる千寿郎に、「悪いが、兄はAの元に行ってくる」と伝えた。



「僕も行きたいです!」

「悪い千寿郎。俺はAと二人きりになりたい!」



はっきりとAと二人きりにさせてくれと頼むと、千寿郎は「わかりました」と身を引いてくれた。


慣れた足取りで屋敷に行く。
屋敷の前を箒で掃いている彼女を呼ぶと、俺を見てすぐに微笑む。



「ーーー杏寿郎」



心なしか目が赤くなっている彼女に近づいては、その下をゆっくりと撫でた。泣いていたようだ。「どうかしましたか?」と聞いてくるAになんでもないと首を横に振った。


Aは強い。

幼くして両親を失い、独りになってしまった。だが、弱音を吐かずましてや1人でこの大きな屋敷に住んでいる。だが、時折見せる弱さが逆に心配を煽っていた。



「A、俺の前では強がらなくていい。素直になってくれ」



手を引いて、誰の目にも入らない、屋敷の中に入り込む。彼女の目からじわじわと涙が溢れ、頬を伝っていく。



Aの両親が死んで、何度目かの冬だった。



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 炎柱   
作品ジャンル:アニメ
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るる - 読んでる途中に目から水が、、、、、、、、 とってもいい作品でした!!!!!! (7月25日 14時) (レス) @page50 id: daa8a87cdb (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 初めまして!涙なしに観れませんでした… (2021年9月26日 18時) (レス) @page50 id: fb083d1d07 (このIDを非表示/違反報告)
名無し12758号(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございます…!一話目から引き込まれて全て読みました、鼻水まで出してみっともない泣き顔で読んでしまいました…笑笑映画でもボロ泣きしましたがこれでも号泣してしまいました、素敵な話が読めて良かったです。本当にありがとうございます! (2020年11月23日 19時) (レス) id: 3be706ff9b (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - 初めまして!このお話を深夜に見かけ一気に読みました。映画でも泣きましたが、このお話も号泣でした。素敵なお話ありがとうございます。何度でも読んでしまいそうです。 (2020年11月23日 2時) (レス) id: b7bf575f91 (このIDを非表示/違反報告)
raaaaaaam(プロフ) - 初めまして!私も一気に読み、深夜なのに号泣笑 隣に寝てる子供が起きるぐらい泣いてしまいました笑 煉獄さん、、最高!素敵な夢を見させて下さりありがとうございます(T_T) (2020年11月20日 4時) (レス) id: c6906907ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/  
作成日時:2020年10月26日 20時

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