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「あら、不死川さん。どうしたんですか?」
蝶屋敷に1週間後に迎えば、偽りの笑みを浮かべた胡蝶がそう聞いてくる。その笑顔は胡蝶の姉、カナエによく似ている。
任務明け、先日の鬼狩りで負傷した切り傷の塗り薬を貰いにきた。深くはねぇし、放って置いてもすぐに治るぐらいのもの。だが、放って置いては後々めんどくせぇことになりそうで。
「珍しいですね。いつも自分を犠牲にして鬼狩りをしては傷の手当てすら他を頼らない貴方が」
「………いいからさっさと手当てしろ」
「しかもいつもより浅めの傷で蝶屋敷に来るなんて」
薬を塗られ、浅いとはいえ少し傷に滲みる。
ビクッと反応してしまえば、胡蝶はふふふっと笑う。そして、「どういう心境の変化ですか?」とさぞも見透かしたように聞いてきた。
片方の腕で頬杖をついていれば、「聞いてますかー?」と答えを催促してきやがる。
「…………うるせェ奴がいんだよ」
「あら、それはAさんのことですか?」
「…………まァ」
流石に以前のやりとりを胡蝶の前で繰り広げただけ、胡蝶もよくわかっている。ふふふっと笑われ、「笑うんじゃねぇ」と言うと、胡蝶は「不死川さん、Aさんに惚れてるんですね」と言ってきやがる。
「………………惚れた」
「ヤケに素直ですね。まあでも、Aさんは素敵な女性ですし、わかります。男性剣士にもよく声をかけられていますし」
別に聞いてもいねぇのに、ベラベラとよく喋る。
女ってのは色恋に興味ありまくりだなァと思いながらも、その話を黙って聞いてりゃ「でも、皆さん大きな壁があるんですよ」と言った。
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呑子(プロフ) - 2話のひなき様がひなぎ様になってます (2020年6月11日 21時) (レス) id: b937ad49b1 (このIDを非表示/違反報告)
菜一郎(プロフ) - きゃああああ名前で呼んで欲しいってとこ可愛すぎぃぃいいいい (2020年5月29日 17時) (レス) id: 2c549b1da3 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花(プロフ) - ぐはっ!告白ぅぅぅ!!尊い!!!死ぬ!!!! (2020年5月25日 23時) (レス) id: c8a359bcaf (このIDを非表示/違反報告)
Ø(プロフ) - こんなに素敵な小説に出会えてよかったです!大変かもしれないですが無理せずがんばってください!応援させていただきます!! (2020年5月21日 0時) (レス) id: 712c3e0bb6 (このIDを非表示/違反報告)
ハチハチ1129(プロフ) - 美桜さんの作品最高です!私も逮捕されたい、補導されたいと思いました(*^ω^*) (2020年5月19日 6時) (レス) id: 12ce184d67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年5月16日 13時