おはよう、愛しい人【不死川実弥】

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「あ？」

「最難関とも言えますね」

「なんだァ」

「弟の隼人くんです」



初めてAさんの弟、隼人くんと会った時彼は私とは一度も目を合わせず、蝶屋敷の子たちとも馴れ合わない気難しい子だった。


Aさんの協力もあって、今ではすっかりと私たちに懐いてくれている。よくAさんが任務の時に泊まりにきているから、わかる。


人柄のいいAさんを気に入った他の剣士たちは彼女が一番に大切にしている隼人くんを使って、彼女をおとそうとしている。だけど、見事に隼人くんは知らない人には懐かないので皆心が折れて諦める。



「隼人がなんで最難関かは知らねェが、アイツ姉思いのいい弟じゃねぇかァ」

「あら、よく知ってますね」

「ついこの間ヤケに懐かれてなァ。遊んでやってた」



その言葉に耳を疑いつつ、「珍しいですね」と思わず口に出してしまう。私たちですら隼人くんに懐ついてもらうのに、時間がかかったのにこの人はいとも簡単に。


終わりです、と手当てし終えた頃、ある鴉が窓から入ってきた。足に文がついており、彼はそれを読むとすぐに立ち上がった。その鴉は「Aノトコ戻ル」と言うと飛んでいく。



「すまねェな」

「薬用意しますね。それとコレ、隼人くんが忘れていったので、返しておいてくれませんか」

「………誰も会うとは言ってねぇだろ」

「あら、違うんですか？」



…………まァ、と目を逸らす不死川さんは「隼人が会いてェとダダを捏ねてるだとさ」と言って、私の掌にある薬を受け取ると足早に蝶屋敷を出ていった。



「不死川さんもあんな顔するんですねぇ」



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