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「悟くん」
「様つけろって言ってんだろ」
「悟くん、気づいてたの?」
ランドセルを隠されていたこと。
多分それだけじゃ無い。悟くんは何も言わなかった。先生に怒られたことを不服に思いながら「あの先生うっぜぇ」とブツブツと言っている。
「悟くん」
「悟"様"だろ」
「悟くんってば」
「なんだよ」
「ありがとう、悟くん」
漸く私を見てくれた悟くんに、にっこりと笑った。悟くんは「パンピーにムカついただけだし」と顔を逸らして、歩いて行く。後ろを歩いて行っていると、悟くんは立ち止まった。ランドセルにぶつかって尻餅をつく。
そんな私を悟くんは見下ろして、手を伸ばす。起こしてくれたからまたお礼を言った。
「アイツ、俺がAを好きだって勝手に勘違いしてた」
「え?」
「パンピーって本当馬鹿。俺が使用人を好きになるわけねぇじゃん。使用人の子供は使用人。それ以上にも、それ以下の関係にもなれるわけねぇっての」
心がとても痛かった。
悟くんはギョッとした顔をした。泣いた私を悟くんは心底ウザそうに励ます。「もうアイツ、嫌がらせしてこねぇから泣くなって」と。
違う。別に、あの子に嫌がらせをされていたからってなんとも思わない。悟くんと一緒にいられたら、それだけで私は幸せだったから。
「泣くな、命令」
「…………っ」
それ以上の関係にはなれない。
私が悟くんを好きになったって、悟くんには到底追いつけない身分。だから、好きになったらダメなんだって。
「A、次から何かされたら俺に真っ先に言え。命令だかんな」
「うん」
これからも、私が悟くんのそばにいるためには、この感情を殺すことしか方法がなかった。悟くんの命令にはちゃんと従った。
「悟くんの言う通りにするね私」
何も求めない。彼への好意を消した。そうしてれば、悟くんの隣に居れるから。
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沙羅(プロフ) - お疲れ様でした!完結おめでとうございます(^ω^)長い間読ませていただきました。番外編楽しみにしてます!甘々な展開、期待しております! (2021年4月19日 22時) (レス) id: f64d60a5d5 (このIDを非表示/違反報告)
踊る宝石(プロフ) - はじめまして!本当にこの作品大好きです。番外編がこれから少しあるんですかね?更新楽しみにしてます! (2021年4月19日 1時) (レス) id: 7183f6d526 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美桜さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年4月14日 21時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
飼口(かいぐち)(プロフ) - 一人称が僕になってる…!てことは夏油はこのときにはもう…? (2021年4月13日 21時) (レス) id: 57441fdd79 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美波さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟でお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。楽しみにしてます。 (2021年4月6日 18時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年4月4日 19時