46 ページ3
*
小学生の頃、女の子からいじめられていた時期があった。理由は、悟くんとよく一緒にいるからだった。
「A、帰るぞ」
「悟くん」
「何やってんだよ」
「んーん、なんでもない」
ランドセルがないの。
そう口にすれば良かったけど、悟くんには言えなかった。「先に帰ってていいよ」と伝えて、教室に走っていき探した。
必死に探したけど結局どこにもなくて、あったのは運動場の隅っこ。土だらけになっている自分のランドセルを手に取った。
土を払って、綺麗にハンカチで拭いて背負うと学校を出る。五条家の敷地内、五条の人たちが住む屋敷とは別にある使用人が使う部屋。そこに私はお母さんと一緒に住んでいた。
五条家までの道のりをゆっくりと歩いて帰った。
途中公園の前を通れば「おっせぇよ雑魚」と耳に入ってきた言葉。ブランコで立ち漕ぎしている悟くんは、勢いよく鎖から手を離して、綺麗に着地した。一回転したよ悟くん。
「さっさと帰るぞA」
「待っててくれたの?」
「俺は優しいからな。雑魚なAを待っててやった」
「………ありがとう、悟くん」
悟くんは言葉遣い荒いし、私をよく雑魚呼ばわりする。性格に難があるけれど、優しい。大好きだった。一緒にいて心が落ち着いて、その時間が何よりも好きだった。
翌日、トイレに行った間に習字道具がなくなった。先生に忘れましたって嘘をついた。そうしたら悟くんが急に立ち上がって、とある女の子の前に立った。
「ふざけんな」
「え?」
「お前、Aの習字道具どこに置きやがった」
「し、知らないよ悟くん!」
ザワザワと騒めく教室。
悟くんはガタッとその子の机を蹴った。その衝撃は強すぎて、机が大きな音を立てて倒れた。驚いた女の子は泣きそうになる。
「パンピーが一丁前に気取ってんじゃねぇよ。Aの習字道具どこやったんだよ。吐けよ」
「だ、だって悟くんが、Aちゃんといつも一緒にいるから!」
「だからなんだよ。Aは俺の使用人なんだからそばにいるのは当たり前なんだよ。昨日はAのランドセル隠したろ。次Aのもん隠したら、殺すからな」
その女の子は結局ワンワン泣いて私に習字道具を返してくれた。悟くんは先生にすごく怒られていたけど、先生の方がビクビクしていた。
.
1548人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
沙羅(プロフ) - お疲れ様でした!完結おめでとうございます(^ω^)長い間読ませていただきました。番外編楽しみにしてます!甘々な展開、期待しております! (2021年4月19日 22時) (レス) id: f64d60a5d5 (このIDを非表示/違反報告)
踊る宝石(プロフ) - はじめまして!本当にこの作品大好きです。番外編がこれから少しあるんですかね?更新楽しみにしてます! (2021年4月19日 1時) (レス) id: 7183f6d526 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美桜さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年4月14日 21時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
飼口(かいぐち)(プロフ) - 一人称が僕になってる…!てことは夏油はこのときにはもう…? (2021年4月13日 21時) (レス) id: 57441fdd79 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美波さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟でお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。楽しみにしてます。 (2021年4月6日 18時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年4月4日 19時