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本人がいないからこそ、話せるのか。悟くんの瞳はこの空間に広がる空よりも綺麗だったから。
いつのまにか友達二人がいなくなっていた。二宮くんと強制的に二人にされた。出ようかと誘う二宮くんに、頷いて外に出た。自由未来館。いろんなものがあった。未来にありそうなもの、自由を表現したものがたくさん。
「お昼、一緒に食べよう」
「私、リサたち探してくるよ」
「ううん、二人で」
掴まれた手首が少し痛い。
二宮くんの真剣な表情に圧倒される。「この前の話、」と小さく呟いた彼に、私は「わかった」と答えた。
ここに着いた際、お昼は各自由に取りなさいと先生が言っていた。自由未来館の中にある売店で買ったお昼を手に外にある机に向かい合って座った。
「水瀬はさ、アイツの話してるとき、俺に向ける顔とは全然違うの気づいてる?」
「えっ」
「気づいてないよな。自分のことには疎そうだし」
苦笑いを浮かべた彼は「初めて五条悟を見たとき、一緒にいた水瀬、今までに見たことないぐらい綺麗な笑顔だった」と教えてくれた。
わからない。自分の顔なんて確認できないし、悟くんといるときに限ってそんな顔になることも知らない。自分の頬に手を当ててみるもよくわからなかった。
だけど、二宮くんの言葉が私の中で、彼に伝えなければならない答えを出してくれた。
「ねぇ、二宮くん。変なこと聞いていい?」
「うん、いいよ。答えられることなら答えるから」
「私って綺麗か可愛いか聞かれたらどっちだと思
う?」
こんな馬鹿げた質問するなんておかしいと思う。
二宮くんは照れたように「……綺麗、」と三文字を口にした。私はその言葉に、口元を緩めた。
ーーー『お前、昔から可愛かったろ』
「……二宮くん、ごめんなさい。……私、好きな人がいるの」
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沙羅(プロフ) - お疲れ様でした!完結おめでとうございます(^ω^)長い間読ませていただきました。番外編楽しみにしてます!甘々な展開、期待しております! (2021年4月19日 22時) (レス) id: f64d60a5d5 (このIDを非表示/違反報告)
踊る宝石(プロフ) - はじめまして!本当にこの作品大好きです。番外編がこれから少しあるんですかね?更新楽しみにしてます! (2021年4月19日 1時) (レス) id: 7183f6d526 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美桜さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年4月14日 21時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
飼口(かいぐち)(プロフ) - 一人称が僕になってる…!てことは夏油はこのときにはもう…? (2021年4月13日 21時) (レス) id: 57441fdd79 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美波さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟でお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。楽しみにしてます。 (2021年4月6日 18時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年4月4日 19時