年下彼女に要注意？【神威】

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「お疲れ様でした」


午後7時。

就業時間ちょうどに上がることできた私は早めに帰ることにした。コートとマフラーをつけて、傘を手に持つと会社のエントランスへと降りて外へと出た。


さて帰りましょうと傘を広げると私の前に一人の女性が歩いてきた。彼女は「Aさん、ですよね？」とにこりと赤い唇をあげた。その人は以前神威さんとホテルに入っていった女の人で、この人が吉沢グループのご令嬢だというのは一瞬でわかった。


「社長なら上にいますよ」と愛想笑いを浮かべると、彼女は私に用があると言って引き止める。「少しお時間よろしいですか」と目を細める彼女にぞっと嫌な予感がした。


彼女に大人しくついていき、カフェに入る。好きなものを頼んでくださいねと言われ、抹茶ラテを頼む。改めて彼女を見ると、長い綺麗な髪で顔も綺麗で女の私でも見惚れてしまうぐらいだ。



「私、知ってると思いますが神威さんとお見合い結婚する予定です」


「………っ」


「でも、全然好きじゃないんですよねぇ」



タイプでもないし好きになれないんですよと挑発するような瞳に、胸の内から怒りが溢れ出すようで。「彼と結婚してもそのうち私は愛する人と駆け落ちするので彼を捨てるつもりです」と私に向けて言った。

その言葉を聞いた瞬間に、ドンッと机を叩いていた。



「神威さんを幸せにできないなら、……私にください…」


「(……ふふ)」


「彼を捨てるなんていう人に神威さんと結婚なんてして欲しくないです」



ムキになって「私にください」なんて身分の差がある彼女に怒りを露わにして。言ってしまったことはもう手遅れだ。「ご、ごめんなさい」と落ち着き、彼女に謝る。


ふふふ…と笑い声が前から聴こえてきて恐る恐る顔を上げれば令嬢は「やっぱりお好きなんですね」と微笑んでいた。



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