【◇】好き×嫌い

08. ページ8

御幸side

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数日

謝ろうとした。けど、廊下で目が合ってもすぐにそらされ、声をかけようとすれば逃げられた。



放課後だって、一緒に帰ろうと誘ったりした。





「なぁ、A…」

「話しかけないで」





けど、泣きそうな顔で断わられた。
あの日以来、一緒に帰ることも野球の話をすることなくなった。





「御幸ー、お前もしかしてだけどさ」

「何だよ」

「七瀬のことガチで好きだった？」

「……そうだよ」







三月に入る頃、あの二人は俺に頭を下げて謝ってきた。許す気なんてさらさらない。けど、あの時にAにちゃんと気持ちを伝えなかった俺が一番悪い。






高校入試の結果が次々に出てきだした三月。もうすぐ卒業。卒業する前には誤解を解きたい。好きだって本当のことを伝えたかった。





「御幸、今日七瀬のやつ合格発表だって」

「……そ」

「俺らが言うのはあれだけどよ。七海の奴にもう一度告白しろよ」

「(もう一度、か……)」





放課後、待つことにした。いつも帰るときに待ち合わせしていた下駄箱で。あいつが来るのを待っていた。7時前、少し涙目で来たA。多分合格したんだろう。





「なぁ、A…！」

「何？まだ何か用でもあるの？」







いつの日から俺に対して冷たくなった。そりゃそうだろう。傷つけたのは俺であって泣かしたのも俺。帰ろうとするAの手を掴んで俺は言った。






「あの時はごめん……でも、俺ずっとAのこと好きだったんだよ」

「……それも嘘でしょ？何回私を騙すつもり？もううんざりだから！！」







俺の言葉はもうAには信じてもらえなかった。





中学最後に見たAは、泣いていた。





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