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「Aの髪色って昔からそれなの?」
「ううん、流石に大学入ってから!」
綺麗な色の入ったイヤリングカラー。仲のいい大学の友人は私の髪を触りながら「いいなぁ、綺麗な色!」という。
「けど、毎回この色だよね。色で遊ばないの?」
「これがいいの」
そう言いながら片付けを終えたバッグを持ち、外へ出る。銀色が綺麗に映えるインナーカラーは、メンテナンスが大変。けど、マイキーくんの友達の友達がカット、カラーモデルのお礼として毎回同じ色を入れてくれていた。
「なんで?」
「ふふっ、イザナの髪の色」
「うわー、出た。惚気〜」
大学を出たすぐのところ。
女の子の集団が出来ていて、「誰かいんのかな」という友人の傍、携帯でメールを確認した。「早く来い」と簡潔に書かれたメールに私は「じゃあここで」といって、その女の群れを掻き分ける。
「興味ねぇつってんだろ。散れ」
「えぇ、そんなこと言わずにさ〜♡」
「クソ、来んじゃなかった」
なんて悪態をついているけれど、いつも率先して迎えに来てくれる。真っ直ぐにイザナのところへと行けば、イザナが私を睨みながら「遅ぇ」と言った。
今朝見た時と比べて、髪の毛がなんだかクルクルしている。美容室に行くとは聞いていたけど、だいぶんイメチェンしたなぁなんて思いながら。
「イザナ、歩いてきてくれたら良かったのに」
「あ?文句あっか」
歩きだったら長い時間、手を繋いで帰れるのに。
バイクを停めてある駐車場に向かう途中、数歩先を歩き振る。すぐ後ろにいるイザナの髪に触れて「似合ってるね、可愛い」とふわふわと遊ぶ。
私の両手首を掴んで「やめろ」と不貞腐れたような彼に、勝手に頬は緩んで「好きだなぁ」と呟く。イザナは頭を一度俯かせると私の手を掴んで歩き出す。
「…………俺の方がてめぇの何倍も好きに決まってんだろ」
「そんな張り合わなくても」
「テメェ殺すぞ」
「物騒な」
ふふ、と笑って「こっち」とわざと遠回りになる道を選択する。途中猫を見つけて、走って行こうと一度イザナの手を離した。
「わっ……!」
先を行こうとして咄嗟に体が後ろへと思いっきり引かれる。私の手首をしっかりと掴んでいるイザナが「逸れるだろうが」と言って、私のすぐそばまでくると指を絡めて繋ぎ直した。
「ちゃんと繋いでろ」
「手を繋ごうよって素直に言えばいいのに」
「んな小っ恥ずかしいとこ言えるかボケ」
完
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頭ン中お花畑(プロフ) - とっても甘々で最高でした。ニマニマが止まらないし、本当に胸がキュンキュンするーっ! 最高のイザナ夢をありがとうございました。寿命が伸びた気がします (1月7日 23時) (レス) id: 67d18bea8c (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - 天竺編10月始まる楽しみ今からイザナ見るの待ちきれらない (6月21日 0時) (レス) id: 67f766a775 (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - イザナの名言天竺編で見れるの楽しみです。 (6月12日 1時) (レス) id: 67f766a775 (このIDを非表示/違反報告)
桜華 - ↓ごめんなさい 間違えました (5月15日 22時) (レス) id: c0d0824301 (このIDを非表示/違反報告)
桜華 - あ (5月15日 22時) (レス) id: c0d0824301 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2022年11月13日 16時